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2050年、ビッグデータはいかにして90億人の食生活を支えるのか(前編) - (page 5)

Lyndsey Gilpin (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2014-05-29 07:30

 米国農業連合のエコノミストであるMatthew Erickson氏は「一般大衆への教育が最も重要だと考えている」と述べるとともに、「農業従事者は、より優れた農業を営むために精密農業テクノロジを採用している。彼らは土地を拡大することができないうえ、収穫可能な土地の減少に直面しているため、農地の潜在能力を最大限に高めるとともに、自らの効率を引き上げる必要がある」と述べた。

 米国内における土地の5分の1は農地として使用されている。しかし、米環境保護庁(EPA)によると、毎日3000エーカー(約1214ヘクタール)程度の農地が失われているという。また米全国調査によると、農作物のための農地は1990年から2010年の間に3億4100万エーカー(約13万7997ヘクタール)から3億3500万エーカー(約13万5569ヘクタール)に減少しているという。ただ、収穫のあった農地は3億2200万エーカー(約13万308ヘクタール)と同程度の水準を維持している。

 Chris Jones氏とRobert Jones氏、そして彼らの昔からの友人であり、収穫保険の営業担当者でもあるGeorge Bercaw氏は、近場の食堂でローストビーフサンドイッチの昼食をとりながらデータと生産性にまつわる懸念について議論していた。

 Chrisは「わたし自身は農業活動を正しく実践しようとしているものの、GPSによってすべてが追跡されるという点を懸念している」と述べ、「EPAから電話がかかってきて『あなたはこの池のすぐ近くで農薬を散布していたのをご存じでしたか?』とか『あなたの農薬散布量は許容されている上限値を超えています』と通知されるのだろうか?」と述べた。

 例えば、風向きが変わった場合や、誤った判断をした場合、コンピュータの計算ミスがあった場合、罰金刑が科される可能性もある。

 Chrisは「どこにいっても足跡が残る」述べた。

 こういった足跡は農業従事者にとってもろ刃の剣となる。小説「1984年」に登場する「ビッグブラザー」のような危険な感覚がシステムにつきまとう。しかしその一方で、データによって守りを固められるようにもなる。過激な環境保護主義者がやってきて、農薬の過剰使用や誤った種苗の使用を糾弾しようとした場合、すぐさま「iPhone」を取り出して反証できるというわけだ。

 Jones氏の農場のために土壌データを分析しているHelena Chemicalで精密農業の技術者を務めるJake Rowland氏は「よりややこしくなってしまう場合もあるが、農業を大きく変えるものだ」と述べるとともに「これによって正直であり続けられる」と述べた。

 また、コンシューマーにとってもこれは有益だ。工業的農業という業界は二酸化炭素の排出や動物の虐待、遺伝子組み換え作物(GMO)という事実を表示しないかたちでの出荷といったことでやり玉に挙げられているため、小規模農場から大規模農場に至るまで、今まで以上の情報を一般大衆に提供する必要が出てきている。

 インディアナ州農業連合のプレジデントであるDon Villwock氏は「その点において、一般大衆に向けた農業経営の透明性を少し改善するものだと言える」と述べるとともに「情報を伝え、裏付けデータもあるというのは良い話だ」と述べた。

 「フォークス・オーバー・ナイブズ--いのちを救う食卓革命」や「フード・インク」といった映画によって、「農場から食卓まで」という運動に弾みがついた。人と、彼らが口にする食べ物との断絶を懸念する人が増えきている一方で、こういったデータはそのギャップを埋める力を秘めている。これは一朝一夕で実現する話ではないが、レストランでタブレットを手渡され、生産農場の名前やその経歴、収穫された野菜のライフサイクルをチェックしたうえで、最も信頼できるデータに基づいて料理を選択できるようになるのだ。これによってわれわれは、自らが口にする食べ物について知る力を手にするとともに、うまくいけば農業というプロセスに対して今までとは違った尊敬の念を持てるようになるかもしれない。

 後編に続く。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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