ベトナムでビジネスをする

「伝説」の時代から受ける影響--ベトナム人の視点で中国を考える - (page 2)

古川浩規(インフォクラスター)

2014-05-29 07:30

南シナ海の衝突がビジネスに与える影響は?

 ベトナムは、現在の日本にとって魅力的な進出先とされている国の1つになっています。ITのオフショア開発でも非常に注目されつつある国でもあります。しかし、今回のような事件が発生し、情勢が緊迫してきたことで「カントリーリスクが高まったため投資を控えた方がいいのか」「事業を一時中断することが良いのか」と問われると、個人的には「ノー」と考えます。

 これは、2011年に日本国内で起きた痛ましい一連の災害の報を海外で受け、「日本は危険だから訪日しない」「日本産は危険だから取り扱わない」と判断を下すのと同じようにも思います。

 確かにセンセーショナルな事件が発生しているものの、大多数のベトナム人には、家族、友人、同僚と過ごす、ごく普通の日常があります。彼らの話題としてこれらの事件が出てくるものの、それはそれとしてプライベートの時間を過ごしていくことがベトナム人にとって自然の姿でもあります。この原稿を書いている段階でも、私のところには「市内は危なくて歩けない」「ベトナム人が殺気立って何かが起きそうだ」といった連絡は全くありません。弊社のベトナム人スタッフもあっけらかんとしています。

 部材や半完成品を中国から輸入して組み立てる会社にとっては、ベトナムの通関を含めたサプライチェーンで支障が出るかもしれません。また、ベトナムでの外国人登録についても審査が厳しくなるかもしれません。

 しかし、会社経営や市場開拓といった戦略的な視点に立った時には、これを機にベトナムとのお付き合いを中断することの方が、むしろデメリットになるのではないでしょうか。

画像
古川 浩規
インフォクラスター
内閣府及び文部科学省で科学技術行政等に従事したのち、平成20年に株式会社インフォクラスター、平成22年にJapan Computer Software Co. Ltd.(ベトナム・ダナン市)を設立。情報セキュリティコンサルテーション、業務系システム構築、オフショア開発を手掛けるほか、日系企業のベトナム進出に際して情報システム構築や情報セキュリティ教育等を行っている。資格等:国立大学法人 電気通信大学 非常勤講師、日本セキュリティ・マネジメント学会 正会員、情報セキュリティアドミニストレータ、財団法人 日本・ベトナム文化交流協会 理事

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

関連キーワード
アジアのIT

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]