IDC Japanは5月28日、国内の製品ライフサイクル管理(PLM)アプリケーション市 場の予測を発表した。2013年は前年比5.9%増の1453億5400万円と見込んでいる。
同市場で構成比が最も大きい機械系でのシミュレーション(CAE)や設計(CAD)、 製造(CAM)といった支援ツール市場は2010年以降拡大し、2013年は前年比6.4%増。 市場全体の57.9%を占める。その中でも特に機械系CAEの成長率が9.4%と高い。
背景として近年、機械系のものづくり現場でソフトウェアで制御されるモジュール の比率が拡大し、機構だけでなくソフトウェア制御も含めて機能安全性などを評価す るため、ミュレーション機能に対する需要が高まっている点を挙げた。
国内PLMアプリケーション市場の2012~2017年の年平均成長率(CAGR)は3.9%と予 測している。機能セグメント別で市場全体のCAGRを上回るのは、設計と開発に関わる 情報を一元化するコラボレーティブPDM(製品情報管理)市場(4.8%)と機械系CAE 市場(6.1%)の2つだ。
グローバルシフトを加速する製造業では、中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)を 中心とする新興国需要への対応に加え、政治的リスクや自然災害、原材料価格高騰 など不確実性への対応が経営課題だという。
設計や開発、生産の各リードタイムの短縮や部品共通化で調達コストの削減につ ながる製品を共有し、グローバルで稼働する統合基幹業務システム(ERP)やサプ ライチェーン管理システム(SCM)とシームレスに連携できるPLMアプリ ケーションは重要であり、成長が続くと分析している。
国内製造業はグローバル化を加速し、海外市場向けの製品に関する設計機能の海外 シフトや現地で売れる製品開発のための情報収集やマーケティング、相手先のブラン ド名で設計、製造する(Original Design Manufacturing:ODM)パートナーとの連携 を強化してリードタイムの短縮、顧客満足度やロイヤルティの向上でサポート体制の 強化などの課題を抱えている。
「PLM製品には、生産の計画と実行、物流や在庫の管理、販売管理、カスタマー サービスといった業務の水平統合を支援する役割が期待されている。今後のPLMベン ダーには、顧客接点や業務ノウハウを補完するためのパートナーシップを積極的に検 討する必要がある」と述べている。
2012~2017年国内PLMアプリケーション市場予測