中堅中小企業でもサーバの仮想化が進んでいる。ノークリサーチが6月2日に発表した「2014年版 中堅・中小企業におけるサーバ仮想化活用の実態と展望レポート」(ダイジェスト版)で明らかになっている。
主要なサーバ用途単位での仮想化導入率は5億円以上50億円未満の中小企業層でも40%に迫り、100億円以上300億円未満の規模になると60%弱に達しているという。
同調査は1~2月に実施。調査対象となったのは、日本全国で全業種の年商5億円以上~500億円未満の中堅中小企業、年商500億円以上の大企業。対象職責は企業経営もしくはITインフラの導入や選定、運用作業に関わる社員、有効回答件数は1000件。
5億円以上50億円未満の「中小企業層」、年商50億円以上100億円未満の「中堅Lクラス」、年商100億円以上300億円未満の「中堅Mクラス」の3つの年商区分でサーバ仮想化の活用状況を主要なサーバ用途の単位で集計した。「活用中」の割合は4割弱~5割強に達し、サーバ仮想化は大企業のみならず中堅中小企業でも導入が進んでいることが分かる。
このうち年商5億円以上50億円未満の中小企業層について用途別の活用状況をみると、ビジネスインテリジェンス(BI)など「分析/出力系システム」(BIなど)で比較的高く、ファイルサーバなどの「部門内利用」で低い傾向がみられる。
ノークリサーチでは、中小企業層でもサーバ仮想化活用は十分な実践段階に入っており、BIなど柔軟なリソース変更への対応が求められるサーバ用途に適用するといった、高度なサーバ仮想化活用も見られるようになってきていると説明している。
年商50億円以上100億円未満の中堅Lクラスでのサーバ仮想化の活用状況を企業単位で見た場合(用途により異なる場合もあるため設問は複数回答)の年ごとの推移をみると、2012~2013年は「活用中」と「検討中」がともに大きく増加しているのに対し、2013~2014年は普及スピードが緩やかになったように見える。ノークリサーチでは、今後、仮想化技術を提案する際には対象システムの選定支援が重要になってくるとしている。
仮想化基盤となるサーバ仮想化ソフトウェア(ハイパーバイザ)に対するユーザー企業の意識については、今後の動向を注視する必要があるとしている。
個々のハイパーバイザについて、それぞれを利用している企業に選んだ理由を質問した結果のうち、「VMware ESX/ESXi(サーバに別途インストールしたもの)」と「Microsoft Hyper-V」についてプロットした図を見ると、Hyper-VはサーバOSに含まれる点、ESX/ESXiはさまざまな機能が豊富に揃っている点が選定の差別化ポイントとなっている状況がうかがえる。
ハイパーバイザ間の差別化ポイントが減ってユーザー企業が意識するケースも減るのか、それとも選択要素としてハイパーバイザをニーズに応じて選ぶようになるのか、現状ではどちらの方向性が強いのかを読むことが難しいとしている。