5月21~22日に開催されたイベント「IBM Software XCITE Spring 2014」では、クラウド、ビッグデータ分析、モバイル、ソーシャルに対するIBMのソフトウェアがどう活用できるのかをテーマに2日間で100近い講演やセッションが繰り広げられた。
「ビッグデータ、クラウド、エンゲージメントという3つの変化が世界を変貌させようとしている。企業はこうした変化の中でどうすれば成長することができるのか。それが今回のイベントのテーマだ」――。IBMのソフトウェアを一堂に介した初の総合イベントXCITEは、同社代表取締役社長のMartin Jetter氏のこんな言葉で幕を開けた。
日本IBM 代表取締役社長 Martin Jetter氏
日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長 Vivek Mahajan氏
IBMのイベントはこれまでソリューションごとに実施されてきた。だが、ビッグデータやクラウドといったトレンドは、領域をまたがって進行しており、そのソリューションもまた領域をクロスするように提供される必要がある。Jetter氏は「変化は始まっている。IBMではその変化の中で先頭を歩む決意だ。相当の投資を行っていく」と強調した。
続いて登壇した、専務執行役員でソフトウェア事業本部長のVivek Mahajan氏は、日本におけるIBMソフトウェアの状況について、コラボレーションソフトを利用するビジネスパーソンが534万人、ビジネスパートナーが300社超、IBM DeveloperWorksのコミュニティーに参加する開発者が4万7000人などを紹介した。
IBMが顧客にもらたす価値として「ビジネス、ITオペレーション、デベロッパーを3つの柱としてソリューションを提供できる。データの課題についてはビッグデータ、アナリティクス、Watson Foundationsがある。クラウドの課題についてはSaaS、BlueMix、SoftLayer、PureSystemsのパターン技術がある」とアピールした。
基調講演には、米IBMソフトウェアグループのクラウド&スマーターインフラストラクチャー ゼネラルマネージャのDeepak Advani氏が登壇。「ビッグデータとクラウドが拓く新しいビジネス~21世紀のビジネスプラットフォーム~」と題して、ビッグデータとクラウドについて「System of Engagement」「Actionable Insight」「Dynamic Cloud」「Composable Business」などのキーワードで紹介した。
System of Engagementは“協働のための情報活用システム”で、クラウドやソーシャルなどを活用することでビジネスパートナーや顧客と協働していくためのシステムを指している。定型の業務処理システムであるSystem of Recordとともに、データ使って知見をリアルタイムに実行できることが重要だという。
IBM ソフトウェアグループ クラウド&スマーターインフラストラクチャー ゼネラルマネージャ Deepak Advani氏
そこでカギになるのが、意思決定やアクションと結びついた知見であるActionable Insightだ。
Advani氏は「新しいビジネスモデルの開発から、業務プロセスの最適化、コストの最適化、リスク管理、顧客維持などあらゆる領域でActionable Insightが必要になる。IBMでは、ビッグデータ分析の基盤でもあるWatson Foundationsなどでこれらに対応できる」と説明。帝国データバンクが大量のデータを分析して業務処理の最適化につなげたことを紹介した。
Dynamic Cloudは、すべての種類のクラウドやITを相互接続、調整してダイナミックに利用することだという。IBMでは、ソフトウェアをSaaS化する方針を発表しており、PaaSではBlueMix、IaaSではSoftLayerを展開する。
「クラウドはビジネスモデルそのものだ。クラウド上でビルディングブロックを使ってビジネスを作り上げられる。それを示したのがComposable Businessであり、それを可能にするのがDynamic Cloudだ」(Advani氏)