ダッソー・システムズは6月2~3日、都内で自社イベント「3D EXPERIENCE FORUM Japan 2014」を開催。本社Dassault Systèmsのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)のBernard Charlès氏は会見で新製品群の「3DXCITE」や「BIOVIA」、それらを統合した「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」を紹介した。
3Dエクスペリエンス・プラットフォームは、Dassaultが2012年から展開しているブランドであり、オフプレミス製品とオンプレミス製品の両方を含んでいる。大きく、3Dモデリング、シミュレーション、ソーシャル&コラボレーティブ、インフォメーションインテリジェンスの4つのアプリケーション群に分かれている。
具体的には、3D CAD設計の「CATIA」と3D設計の「SOLIDWORKS」、有限要素解析などの「SIMULIA」やモデリングなどの「DELMIA」、3Dコミュニケーションの「3DVIA」、設計データ管理などの「ENOVIA」、検索基盤などの「EXALEAD」やビジネスインテリジェンス(BI)などの「NETVIBES」などがある。2013年に買収したRealtime Technologyの製品は3DXCITEというブランドとしてソーシャル&コラボレーティブに、5月に買収したAccelrysの製品はBIOVIAとして3Dモデリングにそれぞれ加わった。
3Dエクスペリエンス・プラットフォームは、12の業種ごとに最適化して提供している。業種は現在、航空宇宙・防衛、建設・建築、消費財・小売業、パッケージ製品・小売業、エネルギー・プロセス、金融・ビジネスサービス、ハイテク、産業機械、医療機器・医薬品、船舶・海洋、天然資源、自動車・輸送機械にわたる。
Dassault Systèms プレジデント兼CEO Bernard Charlès氏
「すべてのブランドを1つのビジネスプラットフォームにまとめあげた。将来のイノベーションはこれらをすべてつないだものと考えるからだ。デザインやシミュレーションだけではなく、バイオ、マテリアルサイエンス、バイオモレキュラーなど、さまざな分野に投資し、適切なビジネス価値を提供する。次世代のプラットフォームでまったく新しい可能性を提示していきたい」(Charlès氏)
2013年の実績としては、新規顧客が1万9000社増で、市場シェアが1ポイント以上の伸長、為替の影響を除いて売上高が2桁増となったことなどを紹介した。1カ月に1社のペースで買収しており、営業利益の大部分を研究開発投資に振り向けている状況だという。R&Dラボは世界43拠点あり、クラウドセンターは4拠点、2014年に新たなクラウド拠点を開設することも紹介した。
エグゼクティブバイスプレジデントのMonica Menghini氏は、iPhoneやNespresso、Teslaの例を挙げながら、「現在の消費者は、製品やサービスでモノを選ぶのでなく、エクスペリエンスでモノを選ぶ。たとえば、iPhoneは電話としてではなく、それに付随するiTunesなどのサービスから得られる経験を買う。Nespressoはコーヒーではなく、店舗で得られるような経験を買う。企業は、そうしたエクスペリエンスをデザインする必要がある」と指摘。エクスペリエンスをデザインするために開発されたのが3Dエクスペリエンス・プラットフォームだとした。
たとえば、自動車・輸送業界向けではCATIAやDELMIA、ENOVIAなどを利用して車体の3Dモデリング、流体シミュレーション、取引先とのコラボレーション、ノウハウやイノベーションを共有する。3Dエクスペリエンスの特徴は、「ユーザーを巻き込みながらエクスペリエンスを創造していくことができる」点だと説明した。
3DXCITEは、デザインや企画、開発で使う3D CADなどのエンジニアリングデータをマーケティングや営業のツールとして再利用できるようにするためのソフトウェア。セールスやPOSデータ、ウェブショールーム、ウェブチラシなどと連携し、マーケティング資産の製品ライフサイクル管理(PLM)を実現できるという。
BIOVIAは、生物学、化学、素材・材料のモデリングとシミュレーション、オープンなコラボレーション、品質管理などを行うアプリケーション。顧客は、SanofiやPfizer、GlaxoSmithKline、AstraZeneca、du Pontといった医薬品やバイオテクノロジのほか、Boeingやトヨタ、Samsungなどの製造業など2000社を超えるという。
日本法人代表取締役社長の鍛治屋清二氏は、6月2日に設立20周年を迎え、国内スタッフ数も約500人規模に拡大したことなどを説明。「パートナーとのエコシステムを強化し、エクスペリエンス時代におけるビジネス創造を支援する」と話した。