爆発的に増加する未知のマルウェア--1日平均53個がゲートウェイを通過

吉澤亨史 2014年06月05日 14時56分

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 悪意のあるウェブサイトにアクセスする頻度は、2012年の23分ごとから2013年は60秒に1回、10分ごとにマルウェアをダウンロードしていた――。6月3日に発表された「チェック・ポイント セキュリティ・レポート2014年版」で明らかになっている。

 同レポートは、Check Point Software Technologiesが2013年に組織のネットワークを侵害する主要なセキュリティ脅威をまとめたものだ。日本法人セキュリティ・エバンジェリストの卯城大士氏は、2013年の傾向として以下を挙げた。

  • 未知のマルウェアの爆発的な増加
  • マルウェア被害と感染の増加:標的型攻撃の成功例の増加
  • 企業内での高リスクアプリケーション利用の拡大
  • 業種やデータタイプ全体でデータ損失が増加

 2013年に未知のマルウェアが埋め込まれた感染ファイルのダウンロードが1件以上発生していた組織は全体の33%。未知のマルウェアが埋め込まれたファイルの形式は、PDF形式が35%と最も多く、EXE形式(33%)、アーカイブ(27%)と続いた。Microsoft Office形式は5%にとどまっている。

 同社は2013年に一般的なウイルス対策ソフトを回避する「HIMAN」という攻撃を検出しているが、このマルウェアは感染から、指令を与えるコマンド&コントロール(C&C)サーバへの接続、情報の引き出しまでを数分で実行するものだった。

 ゲートウェイを通過する未知のマルウェアは1日平均53個であり、これは1時間に2.2個、27分に1回の計算になる。検出できたマルウェアエンジンは10%以下であり、未知のマルウェアであると検知できるようになるまで2~3日を要していた。増加の背景には、マルウェアの“マスカスタマイゼーション”の普及が挙げられると卯城氏は解説する。

 攻撃者は、「Crypter」などの難読化ツール、安価な作成ツールやサービスなど検出を回避する未知のマルウェアを大量に作成する仕組みを活用できるようになっていると説明。マルウェアの数を増やすことで、標的型攻撃に対する手動での調査や対応プロセスの飽和を狙っているとも考えられるという。

 不正なファイルのダウンロードは84%の組織で発生。悪意のあるウェブサイトにアクセスする頻度は、2012年の23分ごとから2013年は60秒に1回となっている。さらに10分ごとにマルウェアをダウンロードしていた。7つ以上のボットに感染した端末を所有している組織は49%にも上る。4週間以上にわたって活動を続けているボットは77%、ボット感染が1件以上発見された組織は73%と、深刻な状況はさらに悪化している。

 マルウェアをダウンロードする件数が増加している背景には、スピアフィッシングメールの開封率が上がっていることがある。これは攻撃者がソーシャルメディア上の情報を活用して、ターゲットの趣味などを把握し、攻撃の成功率を上げているためであるとした。エンドポイントでの問題として、ソフトウェアの状態が最新でない(33%)、ウイルスのシグネチャが最新でない(18%)などの実態も示されている。

 発生したセキュリティイベントをソフトウェアベンダー別にみると、Microsoftが67%と最も多く、以下Adobe Systems(15%)、VideoLAN(10%)と続いた。PtoPファイル共有やアノニマイザー、ファイルストレージやファイル共有といった高リスクのアプリケーションがひとつ以上使用されていた組織は86%にも上っている。情報漏えいにつながる問題が1件以上発生した組織は88%で、データ流出防止(DLP)ソフトウェア導入が急務であると卯城氏は警鐘を鳴らした。卯城氏は2014年に必要な対策を挙げている。

  • 統合されたマルウェアサンドボックスが必須
  • ボット対策とウイルス対策にグローバルなセキュリティ情報が必須
  • ポリシーベースでアプリケーション制御を統合
  • データ流出の防止はネットワークを通じた強化

 同レポートは、同社の調査機関とサービスの共同調査、122カ国にある9240のセキュリティゲートウェイから20万時間以上のネットワークトラフィックをモニタリング、約1000の組織による「Security Checkupレポート」、同社のThreat Emulationセンサなどの分析に基づいている。

HIMAN
HIMANは感染から情報の引き出しまでを数分で済ませるという

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