SAPが米フロリダ州オーランドで開催している年次ユーザーカンファレンス「SAPPHIRE NOW + ASUG Annual Conference」の2日目となった6月4日、アジア太平洋と日本を担当するプレジデントのAdaire Fox-Martin氏が同地域のビジネス状況を説明するセッションを設けた。
Fox-Martin氏はアジアのビジネスについて「第1四半期は日本を含めたアジア太平洋で、クラウド関連の売り上げが大きく伸びた」とする。クラウドとサポートの売上高が、2013年の1300万ユーロに対して、1900万ユーロと46%増えた。
特に、日本でのインメモリデータベース「HANA」事業の大きさはアジアでは突出した規模になっており、これについてアジアの記者から質問が飛んでいた。
アジア太平洋と日本を担当するプレジデントのAdaire Fox-Martin氏
「HANAに関しては日本市場は“アーリーイノベーター”だ」とFox-Martin氏。SAPジャパンが日本において官公庁との結びつきが強いこと、日本企業のグローバル化の流れが追い風になっていることなどに触れた。
データセンターを増やす
4月には東京と大阪の2カ所にデータセンターを開設。オーストラリアのシドニーにも4月1日に設置した。いずれも、HANAをベースにしたクラウド「HANA Enterprise Cloud」を展開。
中でも、ERPなどのビジネスアプリケーション群「SAP Business Suite」やデータウェアハウス「SAP NetWeaver Business Warehouse」などを利用できるようにしている。
記者の質問にFox-Martin氏は「このほかにデータセンターをあと3つ増やしたい」と話した。
アジア全体については「現在、売り上げの柱になっているような企業も、もともとは小さい規模で始めていた。アジアの中小企業の多くが今後多国籍企業になるだろう」だと説明した。
具体的には、SAPのデータセンター上でBusiness Suiteや、2012年5月に買収したAribaのビジネスネットワーク「Ariba Network」に接続する企業が増えているとのことだ。