Vodafone、各国政府による通信傍受の実態を公表

Steve Ranger (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2014-06-09 13:57

 携帯電話ネットワークを国際的に展開するVodafoneが、各国政府によって実施されている自社の顧客に対する監視の一端を明らかにした。

 同社は事業を展開している29カ国についてのレポートを公表した。同レポートでは、顧客の通信にまつわるデータに対するさまざまな政府機関からのアクセス要求について詳細に記されている。


 この種のデータに対する法執行機関や情報機関からのアクセス要求は目新しい話ではない。しかしVodafoneによると、通信技術の進歩と、その成果を活用したいという政府の希望によって、プライバシーに関する市民の権利と、国民の安全と国家の安全保障を維持するという政府のニーズとの間に摩擦が生じているという。情報機関による大規模な盗聴やデータの恒常的な収集に関する懸念が高まった結果、そうした監視活動の規模や合法性についての議論が巻き起こっている。

 Vodafoneはほとんどの地域において、合法的な通信傍受に用いられるシステムの統制権を維持しているものの、同社が事業を展開している少数の国(国名は挙げられていない)では、同社を完全に迂回するかたちで、当局が同社のネットワークに直接アクセスできるようになっているという。

 その結果、これらの国々では、政府当局が盗聴のために令状を取得しなくても直接、すべての顧客の通信に対して完全な、そして恒久的なアクセスが可能になっているという。

 同レポートでは、こういったアクティビティのうち、法執行機関からの要求として大半を占める2つのカテゴリに焦点を当てている。それらは合法的な盗聴と、通信データへのアクセスだ。

 同社は、その他のカテゴリに属する要求、すなわち非合法な要求に応えることは断固拒否すると述べている。また同社は、拒否する理由は主に、法的な手続きや書類の不備、そして法的権限の不適切な行使だとも述べている。

 しかし同社は、そのような要求への対応が自社にとって困難になることがあるともしており、「問題の権力はしばしば、極めて不安定で争いが起きやすい展開の中で用いられる。例を挙げると、大規模な市民暴動や、選挙期間中だ。これは、問題の国で当局との窓口となっているVodafoneの社員らが、完全には合法と言えないという理由で要求を拒否すれば、危険にさらされるおそれがあるということを意味している」と記している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  3. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    急増する工場システムへのサイバー攻撃、現場の課題を解消し実効性あるOTセキュリティを実現するには

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]