#4:起業家神話を信じている
Sun氏によると、起業における最大の神話は、自らのために働くというものであるという。まずこの点を明確にしておきたい。新興企業の創業者でさえも自分自身が自らのボスというわけではなく、おそらく自らのためだけに働いているというわけでもないのである。
Sun氏は「企業家は投資家のために働き、利害関係者のために働き、従業員のために働くのだ。自分自身のためではない。実際のところ、より多くのしがらみと、より多くの責任がついて回る」と述べている。
Mahdara氏によると、起業家の生活を誤解している人は、そういった責任によって厳しい現実に直面するという。
Mahdara氏は「あなたはすべてに対して責任を持ち、自らの給与は後回しにし、休みは最後に取ることになる。起業家になるというのは大きな特権だが、大きな責任もついてくる」と述べるとともに、「またほとんどの人々は、自らの時間の使い方や、誰と働くのか、いつ働くのかに関する決定について幻想を抱いていると思う。そこに大きな自由があるのは間違いないが、その自由はただでは手に入らないのだ」と述べている。
自らの資金を元手にするという計画でない限り、自らの行動一つ一つについて他者に答えていくことになる。覚えておく必要があるのは、資金に手を付けるたびに、あるいは株式の売買のたびに、他の人々に対する説明責任が生まれるということだ。投資利益率に対しては時間的な制約がある点、そしてベンチャーキャピタルとの縁は切れない点を考えた場合、投資家チームには特別の配慮をしておく必要がある。ただ、ベンチャーキャピタルはあなたを成功に導くための貴重な業務的専門性をもたらす場合もしばしばあるため、必ずしも悪いものではない。
#5:ビジネスセンスに欠けている
新興企業はしばしば予測不可能な状況に陥る。このため、多くの創業者らは従来のビジネス理論やプラクティスをきちんと理解しなくてもよいと信じている。残念ながら、これは真実とはかけ離れている。革新的な製品やサービスの創出があなたの目標かもしれないが、弾みをつけるにはそういった製品やサービスを取り巻くビジネスを築き上げていく必要があるのだ。
Hogg氏は「起業する際に明確な計画を用意するとともに、将来必ず発生するであろうまずい事態に備えた準備ができているだろうか?どのように顧客を獲得し、どのように利益を出すのか(例えばビジネスモデルはどういったものか)?そして、実証できるようになるまでにどれだけの資金が必要となるのだろうか?これらさまざまな疑問に対する答えを持ち合わせていないのであれば、起業という決断を下す前にやるべきことがもっとあるはずだ」と語っている。
ビジネスという側面を学ぶためにできることは何でも実践してほしい。また、書籍に当たったり、同時代の人たちが自らの製品をどのように市場にもたらしたのかについても調査してほしい。さらに財務の専門家に相談してどういった資金が必要となるのかを把握し、その利用方法についても計画を練ってほしい。
創業者としての準備をする方法、そしてその現実的なものの見方を身に付ける方法として最善なのは、(ボランティアとして、あるいは横につくなどして)起業家とともに仕事をすることだという点については、Sun氏もHogg氏も同意している。特に、資金を調達する前の会社の初期段階で起業家とともに仕事をし、投資家との会合にも参加するようにしてほしい。これによってあなた自身の将来に関するイメージがわくはずだ。
Sun氏は「この道の大変さが如実に分かり、間違いなく喝を食らうはずだ」と述べている。
Hogg氏は起業という道を次のように描写している。同氏は、「これは(ディズニーランドの)スペースマウンテンに乗る準備をするようなものだ。これからジェットコースターに乗ると分かっているものの、まわりはすべて真っ暗で、いつカーブに出くわすのかも分からない。このため、リスクを嫌い、ダイナミックな環境に身を置きたくないというのであれば、起業家というジェットコースターに乗ってはいけない。準備を整える最善の道は、乗った経験のある誰かに尋ねることだ」と語っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。