同社の説明によると、昨年来セキュリティ脅威が一層増大する中で、この分野に精通した人材の不足が深刻化しているという。今回の拡充策の1つであるセキュリティ人材開発センターの機能は、まさしくセキュリティ人材不足に一石を投じたものだ。こうした取り組みが業界を挙げて広がっていくことを期待したい。
「HPのネットワーク事業は日本市場でまだまだ拡大できる」 (日本HP 山口太 HPネットワーク事業統括本部長)
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が先ごろ、ネットワーク製品群を拡充すると発表した。同社エンタープライズグループ事業統括部門でHPネットワーク事業の責任者を務める山口氏の冒頭の発言は、その発表会見で、日本市場におけるHPのネットワーク事業のポテンシャルについて語ったものである。
日本HP HPネットワーク事業統括本部長 山口太氏
同社が今回、拡充を図ったネットワーク製品群は、データセンター領域における大量の通信トラフィックを高速処理するスイッチ製品群、ユニファイドコミュニケーション(UC)やセキュリティ脅威データベースとSDN(Software-Defined Networking)コントローラを連携させるSDNアプリケーション、IEEE 082. 11acに対応した無線LANアクセスポイントなどだ。
これらの製品群を投入した市場背景として同社は、「昨今、モノのインターネット(IoT:Internet of Thing)が急速に拡大しており、企業が取り扱うデータ量は爆発的に増加し、予測困難な状態にある。データセンターでは仮想化技術によるサーバおよびストレージの集約が進み、通信トラフィック量が急激に増大しつつある。これにより、大量の通信トラフィックを低遅延で高速処理できるシンプルでフラットなネットワークの再構築が求められている」との見方を示した。
今回の製品群におけるさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは山口氏が語ったHPのネットワーク事業の状況について取り上げておきたい。
HPのネットワーク事業は、ネットワーク機器ベンダーの3comなどを買収することで形成されてきた経緯があり、今では事業ポートフォリオの相当部分を保持している。特にSDN関連サービスについては早くから手掛けており、競合の中でも先陣を切っている印象が強い。では、市場における存在感はどうなのか。会見の質疑応答で山口氏に尋ねてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「さまざまな市場調査を踏まえて当社が認識しているところでは、HPはグローバル市場で3位以下を大きく引き離して2位につけている。日本市場でのシェアは5%程度で3位グループに入っている状況だ。順位だけ見るとグローバルより一歩下がっているが、日本での業績は非常に好調に推移している。むしろ、これからもっとビジネスチャンスが広がっていくという手応えを感じている」
このコメントに続いたのが、冒頭の発言である。HPはネットワーク事業をサーバやストレージと同じ組織(エンタープライズグループ事業統括部門)で手掛けているのもユニークな点だ。果たして市場でどこまで存在感を高められるか。注目しておきたい。