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世界の経営者はイノベーションファーストを目指す - (page 4)

大西高弘 怒賀新也 (編集部)

2014-06-19 07:30

イノベーションファーストを実現するために

 小鹿氏の話を受け、斉藤氏もイノベーション創出において鍵となる社員の動機づけに言及した。

 「小鹿さんの指摘する3つの条件、アイデアを創出するアプローチとして興味深いです。僕からはマネジメントの視点で、1つ提起したいことがあります。それは、旧来型のマネジメントスタイルがイノベーションを芽をことごとく刈り取っていること。その深刻さに気がつかない、なんとも鈍感なマネジメント層の存在です」

 斉藤氏によると、仕事には「手続き(アルゴリズム)型」と「創造(ヒューリスティック)型」があるが、手続き型業務は機械やプログラムが代行するようになったため、創造型業務が仕事の多くを占め、かつ企業の価値を創出しているという。問題は、前者と後者では「あるべき動機づけ」がまったく異なることなのだ。

ループス・コミュニケーションズ代表の斉藤徹氏
ループス・コミュニケーションズ代表の斉藤徹氏

 「手続き型の仕事には“報酬と罰による外発的動機づけ”が有効ですが、創造型の仕事にはむしろマイナスで“知的好奇心による内発的動機づけ”こそが効果的であることが実証されています。簡単に言うと、イノベーションには遊びの感覚が大切ですが、統制された途端にそれらの原動力が消え失せてしまうのです。組織が短期的な成果にばかり注目すると、創造性や生産性には逆効果となる。心理学者はこれを“報酬の隠されたコスト”と呼んでいます。イノベーションを創出するには、社員自らがその重要性を理解し、自発的に目標を設定し、同僚と協働しながら、成果を築いていくこと。そのような自律的な職場環境、そして社内文化を醸成していくことが極めて大切です。シリコンバレーのベンチャーが職場を楽しくしているのは、決してふざけているからではありません。イノベーションを最大限に創出するための投資なのです」(斉藤氏)

 すでに世界の経営者はそのことに気がつき、大胆に変革しはじめている。

 図3を見ると、より開かれた組織を目指すCEOが、わずか1年の間に27%と急増しているのだ。それは社内に限ったことではない。図4によると、社員、パートナー、インフルエンサーという3者すべてに対して、コラボレーションへの取り組みが倍増するであろうことが示唆されている。

 調査でとりあげられた米国CEOの言葉が、新しい時代を象徴しているようだ。

 「社内での迅速な変革、成長、イノベーションを実現するために、我々は新たなテクノロジ、ビジネスプロセス、思考プロセスを導入している」(CEO of leading services and technology business, United States)

 世界の経営者は、今、イノベーション創出という新しい競争のフィールドで、斬新な経営手法を積極的に取り入れている。そこに参画できる企業だけが、ビジネスの明日を語れる資格があるのかもしれない。

斉藤氏のメモ

 最後に日本独特の課題をひとつ。日本人は子供のころから同調圧力の中で育ちます。かく言う僕も、大勢の人がいる中で質問するのは気が引けるタイプです。当然のことながら、会社の中でも同様で、日本独特の「見えない同調圧力」がいたるところに存在します。上司の言ったことに逆らえない。

 目立つことを良しとしない、積極的に発言しない、周囲の空気に鋭敏に同調する、逆に言いたいことをはっきり言う社員は「協調性のない人材」とレッテルをはられてしまう――この社内文化を乗り越えずして、世界企業とのイノベーション競争を乗り切ることは不可能でしょう。開かれた環境だけではなく、開かれた社風を築くこと。社内で無意識に醸成された価値観をいま一度見直すことが、意外にもイノベーションへの近道になるのではないでしょうか」

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