「彼の告発行為が犯罪なのか正義なのかを今判断するのは難しい。50年後には結論が出ているかもしれないが、これを機に内部告発の処し方について論議を深めていく必要があるだろう」
話す内容もさることながら、その冷静な話し方が、筆者には強く印象に残った。いずれにしても、デジタルアーツにとってはこの上なく心強いアドバイザーを得たといえよう。
「企業にとってメールデータの一元管理は、内部統制や監査対応においても不可欠な条件となってきている」 (シマンテック 関谷剛 常務執行役員)
シマンテックの関谷剛 常務執行役員
シマンテックが先ごろ、クラウド型情報管理・検索サービス「Symantec Enterprise Vault.cloud」(EV.cloud)の国内提供を開始したと発表した。関谷氏の冒頭の発言は、その発表会見で、メールデータの一元管理を可能とするEV.cloudの必要性について語ったものである。
EV.cloudは、組織がメールや重要なビジネス上の情報をより快適に保管、管理、検索できるようにしたSaaS型アーカイブ。ユーザーの受信トレイ内のメールをクラウド上に構築されたストレージ領域にアーカイブし、保存されたメールは場所や時間を問わずにアクセスできるという。アーカイブされたメールの体裁は実際のメールとほぼ同様で、すべてのメールが保存される仕様となっている。
関谷氏はメールセキュリティ市場の状況について、「企業が扱うメールデータの量は増え続けており、メールを介したサイバー攻撃も増加している。メールデータの管理を一元化していない企業では、情報漏えいのリスクが高まるとともに、コンプライアンスの面でも不安がある」と語り、メールアーカイブを低コストで一元管理するニーズが高まっていることを説明した。
会見で説明されたEV.cloudの詳しい内容について関連記事を参照いただくとして、ここではメールセキュリティ分野におけるシマンテックのサービス展開について紹介しておきたい。
同社ではメールセキュリティに関わるクラウドサービスとして、すでに「Symantec Email Security.cloud」と「Symantec Web Security.cloud」を展開しており、今回のEV.cloudはこれらに続く3つ目。関谷氏によると、3つのサービスを活用することでさらに安全性を高めるとともに、ビジネスの俊敏性を向上させることができるという。
同社によると、とくにSymantec Email Security.cloudはクラウド型メールセキュリティサービスとして、グローバルでおよそ4分の1、日本では過半数の売上高シェアを誇っているという。ちなみに、グローバルと日本のシェアが倍以上違うのは、日本のほうが競合サービスがまだ少ないこともあるようだ。
いずれは日本もグローバルのように激戦区になってくる可能性があるが、先行するシマンテックとしてはダントツのシェアトップを維持していきたいところだろう。今回の新サービスの発表は、その意気込みを示したものともいえそうだ。