トヨタは2012年から「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」構想を打ち出している。これは、複数車種で基本部品を共通化し、設計と開発の効率向上や量産効果を目指す自動車の開発手法だ。トヨタではパワートレイン部門で、Creoとビジネスプロセス管理の「Windchill」を導入している。
同社のユニットセンターエンジン統括部企画総括室主査を務める清水弘一氏は、「われわれの部門では、初期設計から製造工程までCreoを利用している。(最新の)『Creo Layout』では、今まで8プロセスを経ていた設計工程が1プロセスに集約された。複雑な3Dデータも、2D環境(2D構想設計)で精査できる」と語った。同社の2013年における世界自動車販売台数は1000万台を超えている。
トヨタ自動車でユニットセンターエンジン統括部企画総括室主査を務める清水弘一氏
ユーザー企業は、Unite Technologyの実装を評価しているという。Campbell氏は「CADデータの統一は、ユーザーが求めていたものだ。今回、われわれが先陣を切ったことで、アドバンテージがあると考えるが、今後は他社も追随してくるだろう」と語る。
市場からのニーズが高い仮想化環境やクラウド版への対応については、「前向きに取り組んでいる」(Campbell氏)と述べた。仮想化環境としては、すでに「HDX 3D Pro」を装備した「XenApp」「XenDesktop」に対応している。
クラウド版の提供についてCampbell氏は、「商用版のリリースは未定」としながらも、社内でパイロット版を試用していることを明らかにした上で「パイロット版で好感触を得た場合には、トライアル版をリリースする。その際にはオンサイトでホスティングする計画だ。その後、アカデミック版をリリースし、その反応を見ながら商用モデルの投入を検討する。具体的なスケジュールは決定してないが、年内にもトライアル版がリリースされる可能性がある」と語った。
Creo Layoutでは、3D設計に2D概念設計データを再利用できる