ニューヨーク発--Linuxは長年、スーパーコンピュータ分野で勢力をふるってきている。このため、スーパーコンピュータのランキングを決めるTOP500グループの最新調査でLinuxがまたも最速中の最速OSとなっても、ウォールストリートの近くで開催されたLinux Foundationの「Enterprise End User Summit」の参加者にとっては驚くにあたらないことだった。
Red Hatのある関係者は「Linuxがトップだという話で何か驚きがあるとすれば、それはLinux以外がトップに近い位置につけることがあった時くらいだ」と述べている。この関係者がそういった心配をする理由はなさそうだ。
最新のランキングでは、Linuxがほぼ独占状態であったのみならず、競合相手すべてを徐々にランキング外へと押し出しつつある状況が示された。2014年6月のTOP500スーパーコンピュータリストにおいて、最速のコンピュータ500台のうち485台がLinuxを稼働しているという結果になり、このオープンソースOSは過去の記録を更新した。つまり、世界最速のコンピュータの97%がLinuxを搭載しているというわけだ。
残り15台のうち、13台はUNIXが稼働している。これらはすべて、IBMの「Power」プロセッサを搭載しているため、同社の「AIX」が稼働しているようだ。そのなかで最速だったのは、英国の欧州中期予報センター(ECMWF)にある気象予測システムであり、ランクは60位であった。
また、「Windows」が稼働するマシンも2台、ランキングに入った。これらのうちで上位に入ったのは、上海スーパーコンピュータセンターのものであり、294位であった。SolarisとBSD UNIXは今回、ランキングに入ることすらできなかった。
しかし、全システムの総合的な性能向上率はこれまでで最も低いものとなった。最も遅い、500位のスーパーコンピュータに関して言えば、その性能は「過去5年間の成長トレンドに追随しておらず、今やその傾向は毎年55%の伸びにとどまっている。一方、1994年から2008年には、500位のシステムの性能は毎年90%ずつ伸びていた」という。
ハードウェアベンダーらはより高速なプロセッサを開発することでスーパーコンピュータの性能を向上させようとしている。Intelが市場に投入する予定の「Xeon Phi」マイクロチップ(開発コード名:「Knights Landing」)は単一プロセッサソケットで毎秒最高3兆回の倍精度浮動小数点演算の実行(3テラフロップス)を目的としている。
世界最速のコンピュータの97%がLinuxを搭載している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。