25日の日経平均は109円安の1万5266円。24日に新成長戦略(アベノミクス成長戦略の改訂版)が発表されたが、内容はほぼ事前に発表されていた通りだったため、織り込み済みとの反応となった。
日本経済を強くすることに徹した内容
2013年6月の成長戦略が、発表と同時に株式市場で失望されたのと比較すると、今回発表された新成長戦略は、少なくとも失望される内容ではない。法人税改革(実効税率の20%台への引き下げ)・イノベーション推進・岩盤規制の改革など、基本方針は経済を強くすることに徹した内容と言っていいだろう。
楽天証券経済研究所のチーフストラテジスト窪田真之氏の分析によると、個々の政策には賛成できないものもあるが、全体として、日本経済を強くする意志を前面に出した点は、株式市場から評価される内容といっていいとのことだ。
実行力には疑問符がつく
今回打ち出したのはあくまでも基本方針であって、細部の決定は、今後の政策運営にかかっている。法人実効税率の引き下げだけでも、「本当に実行できるか?」と疑問を感じる向きもある。
財源を確保できないことを理由に、減税が骨抜きになる可能性もないとは言えない。今後は、冷静に実行力の有無を見極めていくことになる。
改革が動き出せば、外国人投資家の買い復活も
世界の株式市場を動かしている投資マネーは、経済を強くする改革を打ち出す国に向かう傾向がある。去年は、景気が減速している新興国から流れ出した投資マネーが、アベノミクスを評価して日本に向かった。その結果、昨年、外国人投資家は、日本株を約15兆円買い越した。
ところが、今年に入ってから一時アベノミクスに失望して、投資マネーは日本から離れつつあった。1~3月に外国人投資家は約2兆円も日本株を売り越している。今年は、インドのモディ政権が打ち出している経済改革を評価して、インド株など新興国に投資マネーが逆流している。
ただし、6月に入ってから、新成長戦略の概要が徐々に明らかになる過程で、外国人投資家は再び、日本株を買い越しに転じつつある。日本へのマネーの流れを復活させられるか、これからが正念場だ。