「ニーズ」と「シーズ」から商機を掴む
「モノ」がまだ希少性のあった時代。「世界初」というフレーズだけで売れる製品は存在した。しかしモノがあふれ製品の差別化や生活者の「ウォンツ」に応じて、製品を提供する必要性が高まるにつれ、シーズよりニーズと言われるように企業の売り方が変化した。
今日でも「良い物を作っていれば売れた」時代はとうに終了し、「いかに欲しい人に届けるか」が重要視されている。市場のニーズにそって戦略をたてるマーケティングが注目されている理由だ。
しかし、ここ数年次から次へと新たな技術が登場し、大多数のユーザー層だけを見ていては時代に取り残されるリスクも生まれつつある。例えば今でもフィーチャーフォンユーザーは大多数を占めている。フィーチャーフォンユーザーのボリュームが多いからといってスマートフォンへの対応を躊躇(ちゅうちょ)していれば取り返しのつかないことになるかもしれない。
同じくスマホユーザーが増えたといってもInternet Exploler(IE)の利用者はまだまだ大勢いる。新たなブラウザへの対応をさぼっていてはエンジニアとしての価値が低下するかもしれない。
このような時代にあって、「ニーズ」と「シーズ」の両輪からビジネスを創造する、そんな機能がこれからの企業活動には欠かせないのではないか。ATLが加わったリクルートがこれからどんなサービスを創出していくのか注目に値する。
- 大元隆志
- 通信事業者のインフラ設計、提案、企画を13年経験。異なるレイヤの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。『ビッグデータ・アナリティクス時代の日本企業の挑戦』など著書多数。