Salesforce.comは米国時間6月26日、「Salesforce1 for Retail」を発表した。これは、モバイル技術を通じて顧客とよりパーソナルな関係を築くためのツールを企業にもたらすことを目的としたプラットフォームだ。
米国のクラウドプロバイダーであるSalesforce.comは同日、Salesforce1 for Retailによって、小売企業における顧客との関係と総合的な利益の双方を向上させるための、モバイル技術やインターネットを活用した革新的なソリューションがもたらされると述べた。小売業界の競争が激しさを増すなか、その最前線にとどまり続けるにはブランドロイヤルティが必須である。そしてこれには、顧客に企業とのつながりを感じてもらうとともに、企業から価値ある存在だと見なされていると感じてもらうことが鍵となる。
Salesforce.comによると、小売業界は実店舗と、オンライン上の購入機会が交わる「岐路」に立っているという。同社の新たなプラットフォームは、業界におけるこのようなシフトによって生まれたものであり、小売企業は自社と顧客の間に「1対1のデジタルエクスペリエンス」を作り出そうとしているものの、その多くはソーシャルメディアやウェブ上でのキャンペーンといったさまざまなチャネルと、店頭での実際の購入エクスペリエンスを結びつけるうえで苦労している。
同社は「テクノロジによって、より高い見識とより多くのつながりを持つ顧客が生み出されており、それらの顧客は情報によって力を得ている」と述べている。
この小売企業向けプラットフォームにおける主要な側面の1つに「Mobile Clienteling」がある。このシステムは、企業が顧客の居場所や購入履歴、買い物における好み、ソーシャルプロフィール、記念日や誕生日といった個人情報を含むデータにアクセスするために用いることができる。
「iPad」を手にした販売員は、顧客の閲覧履歴や購入履歴にアクセスできるため、例えば「最近購入されたスーツに合う最適なネクタイを勧める」ことができるようになる。また、ソーシャルプロフィールにアクセスし、「顧客がピン留めしたり、ツイートしたりしている内容に基づいて」商品を勧められるようにもなる。
こういった行為は顧客からすると、出過ぎたものに感じられるかもしれないが、この技術によって小売企業は「顧客との間で1対1の関係を作り出し、あらゆるチャネルを通じて素晴らしいショッピングエクスペリエンスをもたらす」ことができるとSalesforce.comは述べている。
またMobile Clientelingには、顧客向けのコミュニティー機能のほかに、業者や販売店、サプライヤーが在庫データにアクセスできるようにするパートナーシステムも含まれている。また、マーケティングチームはキャンペーンにおけるベストプラクティスをさまざまな場所をまたがって共有できる。さらに、店員は同プラットフォームを通じてお互いに協力し合ったり、トレーニングマニュアルや手引書にアクセスしたりできるようになる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。