課題は社内?--製造業のサービスビジネス成長の阻害要因を探る:PTC調査

鈴木恭子

2014-06-27 17:10

 製造業がサービスを変革させるには何をすればいいのか――。

 製造ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアなどを手掛ける米PTCはイベント「PTC Live Global 2014」の中で、「製造業が直面するサービス変革の課題」に関する調査を発表した。

 調査は、同社が英国の調査会社であるOxford Economicsに委託した。調査対象は、北米や欧州、アジアに拠点を持つ、総収入10億ドル以上の製造系企業の幹部370人。

加速する製造業の“サービスシフト”

 Oxford Economicsでは、調査の主題である「サービス変革の進捗状況」のアンケート結果をもとに対象企業を「LAGGING(遅れている)」「FORMATIVE(途上)」「MODERATE(中程度)」「PROGRESSIVE(進歩的)」「BEST-IN-CLASS(最先端)」の5段階に分類。それぞれの段階ごとに課題を集計した。ここで言う“サービス”とは、「製品が生み出す付加価値の提供」を指す。

“製品のサービスシフト”への取り組み
調査対象企業370社を5段階に分類。現時点では“製品のサービスシフト”への取り組みが「遅れている」「上」「中程度」を合わせると70%であるものの、3年後には90%が最先端になると予測している

 「サービスビジネスの成長を阻害する要因」(複数回答)をみると、最先端のカテゴリ企業では「サービス部門と製造部門の相乗効果が限定的」(58.3%)、「大きな戦略立案をする際、(社内での)手続き業務が多すぎる」(47.9%)といった組織内連携に関する課題が上がった。

 遅れている企業では、「サービスに特化した技術の欠如」(57.9%)、「集中管理プロセスの欠如」(43.9%)と、技術やプロセスの整備が不十分であるとの指摘が挙げられている。

サービスビジネスの成長を阻害する要因
5段階別に見る「サービスビジネスの成長を阻害する要因」(複数回答)
Cindy Elliott氏
PTC サービスライフサイクル管理 マーケット開発担当シニアディレクター Cindy Elliott氏
Brian Lindauer氏
PTC サービスライフサイクル管理 ソリューション戦略担当 シニアバイスプレジデント Brian Lindauer氏

 「スキルがある人材確保の難しさ」については、遅れている企業の38.6%が「課題」としたのに対し、中程度企業で課題としたのは20.4%、最先端企業では29.2%が課題としている。「企業マインドは製品中心である」と回答したのは、遅れている企業が29.8%、以下、途上(36.9%)、中程度(55.8%)、進歩的(48.5%)、最先端(35.4%)という結果だった。

 サービス変革の状況は、企業規模に寄るところが大きい。最先端企業の70%が年間収益100億ドル以上だったのに対し、遅れている企業の70%は、年間収益が100億ドル以下だった。特に収益が50億ドル以下の比率は、最先端企業が15%だったのに対し、遅れている企業では46%と高くなっている。

 説明したPTCでサービスライフサイクル管理マーケット開発担当シニアディレクターのCindy Elliott氏は、「近年グローバル企業では、より“サービスセントリック”なアプローチにシフトしている。サービス変革を実現するためには、社内の慣習や業務プロセスなどを変更する必要性も生じるが、(サービス変革で)最先端を行く企業は、収入と利益の両側面で高い効果を得ている」と指摘した。

 近年PTCでは“製品のサービス化”の重要性を説いている。サービスライフサイクル管理ソリューション戦略担当シニアバイスプレジデントを務めるBrian Lindauer氏は、「サービスは収益性を高める意味でも企業の要となる。企業のサービス部門は、販売手法やサービスプロセス、技術の分野でまだまだ改善の余地がある」とコメントしている。

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