
NASAゴダード宇宙飛行センター初のBeowulfクラスタ
IntelがASCI Redに大規模の投資を行っていたのとほぼ同時期、十分な資金を与えられていなかった米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center:GSFC)の契約研究者が16基の「486DX」プロセッサを10Mbpsのイーサネットを「バス」としてつなぎ、独自の「スーパーコンピュータ」を構築する決断を下した。最初の「Beowulf」クラスタを作り出すことで、現在最も人気のあるスーパーコンピュータ設計、つまりLinuxを搭載するクラスター型スーパーコンピュータの原型を創造していることなど当時の彼らは知る由もなかった。
NASAの契約研究者のDon Becker氏とThomas Sterling氏が1994年に設計したBeowulfは、数千ドルで購入可能な自作(DIY)並列処理コンピュータという位置づけだった。処理速度は1桁台のギガフロップスに過ぎなかったが、Beowulfは商用オフザシェルフ(Commercial Off-The-Shelf:COTS)のハードウェアを使ってスーパーコンピュータを構築できることを実証した。Raspberry Piボードを使ってBeowulf「スーパーコンピュータ」を構築することさえ可能だ。