
Tianhe-2(天河2号)
「Tianhe-2」(天河2号)は2014年時点で最速のスーパーコンピュータだ。処理速度は33.86ペタフロップスで最初のBeowulfを完全に凌駕するが、同じ基本設計を採用している。天河2号を構築した中国の設計者たちは、2018年までに100ペタフロップス(10京フロップス)を達成したいと考えている。
天河2号は16基の486DX CPUではなく、1万6000台のノードで構成される。各ノードには、IntelのIvy Bridgeプロセッサ「Xeon」2個と「Xeon Phi」プロセッサ3個が搭載されており、それらのコンピューティングコア数を合計すると312万基になる。
アーキテクチャに関して、天河2号と最初のBeowulfには1つだけ大きな違いがある。それは、天河2号が複数のプロセッサアーキテクチャを組み合わせていることだ。天河2号は汎用CPUであるXeon IvyBridgeに加えて、浮動小数点計算専用のXeon Phiも利用する。
2種類のCOTSプロセッサを組み合わせるこの新しい方法は、より一般的になりつつある。2014年6月に発表された「Top 500」スーパーコンピュータリストを見ると、計62のシステムが現在、アクセラレータ/コプロセッサ技術を採用しており、2013年11月の53から増加していることが分かる。それら62のシステムのうち、44システムはNVIDIAチップ、2システムがATI Radeonをそれぞれ使用している。また現在、17のシステムがIntelの「MIC」技術(Xeon Phi)を採用している。
次のスーパーコンピューティングへの競走が続く中、次の目標になっているのはエクサフロップス(1000ペタフロップス)のスーパーコンピュータだ。多くの専門家はそれが2018年までに登場するだろう、と予想している。誰がそれを達成するのかは分からないが、そのスーパーコンピュータはLinuxと2種類のプロセッサを搭載し、依然として、実績のあるBeowulf設計に基づいたものになるだろう、と筆者は考えている。
そのような処理速度が実現した場合、何が可能になるのだろうか。リアルタイムの遺伝子配列解析はどうだろうか。あえて言わせてもらうが、本当に正確な天気予報は可能になるのだろうか。その日は近づいている。そして、その未来はそんなに遠くない。