SAP AGは7月1日、米国トヨタIT開発センター(トヨタITC)とVeriFoneの協力により、ドライバーの給油作業の大幅なシンプル化に貢献する、共同イノベーションプロジェクトを発表した。
現在のところ、ドライバーが「最適な」ガソリンスタンドを見つけて給油するためには、複数のシステムを利用する必要がある。ガソリンスタンドでは、給油ポンプのリーダーにカードを通し、さまざまなIDコードを入力して、決済の承認プロセスを進める必要や、ガソリンスタンドのスタッフに現金払いをする必要がある。
これに対し、今回のプロトタイプでは、ワンタッチ、ワンスクリーンの方法を取り入れるることで、最も近いガソリンスタンドへのナビゲーションが表示され、自動決済の電子承認プロセスを進めることや、パーソナライズされたクーポンを受け取ることが可能となっている。
本プロジェクトのユースケースは、動画として示されている。まず、ガソリンの残量が少なくなると、ドライバーに通知される。次に、トヨタITCのテレマティクス・システムによる位置情報やガソリン残量といったリアルタイムのコンテキストに基づき、また優先度の高いガソリンスタンド事業者など、ドライバーが事前入力した個人的な嗜好も考慮して、ガソリンスタンドの場所が推奨される。
自動車がガソリンスタンドに到着し、給油ポンプの前で止まると、ダッシュボードやモバイルデバイスのアプリをワンクリックするだけで、トランザクションの認証プロセスを進めることが可能。このとき、ガソリンスタンド側では、ドライバーのプロフィールに基づいて割引やポイント特典などのクーポンを提供することもできる。給油作業が完了すると、ドライバーは電子レシートを受け取る。このほか、過去の給油履歴を表示させて、経費報告など他のシステムに簡単にデータをエクスポートすることも可能。
このソリューションはSAP HANA Cloud Platformをベースとし、自動車の位置、ルート、ガソリン残量、ドライバーの関心事に関する情報を集計する。これに、VeriFoneの販売時点管理(POS)ソリューション、トヨタITCのテレマティクスデータを組み合わせて実現した。また、マイクロ・ロケーション・サービスを実現する新たな無線規格Bluetooth Low Energy(BLE)も用いられている。
こうしたプロセスと情報は、SAPのクラウドを通じて統合され、トヨタITCのダッシュボード上で表示されるため、ドライバーは、トランザクション全体をワンクリックで管理可能、消費者を中心に据えたConnected Carサービスを実現した。