トップインタビュー

デザインがユニークな世界を拓く--ツナグデザインの根津氏 - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-07-10 14:44

すべてがデザイン

--経営層が製品を判断する際スペックを重視しがちだがデザインの力をどう説明しているか。

 二元論はあまり好きではないですが、あえて言うと製品のスペックと、いわゆるデザインは車の両輪です。もっと言えば、その全部がデザインであると思っています。デザインというとスタイリングという意味に考えがちですが、ものの設計やあり方そのものがデザインだと考えています。


コペンのミニ四駆

 商品のコアになる価値に対し、デザインやスタイリングはユーザーとのインタフェースです。せっかく中に良い価値があっても、それが伝わるように外側が整えられていないとユーザーには伝わりません。逆に中に良い価値がないなら、外側だけ整えても何も伝わるわけがありません。車の両輪とは、そういう意味です。

 そうするとデザイナーがやるべきことは、その商品が持つ本質的な良さは何か、それを作っている会社が大切にしていることの本質は何か、といったことについて、きちんと知ることではないかと思います。思想的な部分まで立ち入っていかないと、いいものになっていきません。

 「なんとなくカッコいいデザイン」はすぐにできます。でもそこに思いを乗せるのは10段階くらいレベルが高くなります。会社のロゴマークのデザインもそうですね。その会社の思想を体現していなければ意味がありません。そのためには、その会社の理念や本質的な価値をきちんと理解している必要があります。

 例えばマツダがメインメッセージとして打ち出している「Zoom-Zoom」は走る喜び、ワクワクする感じを表現していますが、それが企業姿勢でもあり、車の性能やスタイリングにも表れています。そこに一貫性があって、結果としてプロダクトがメッセージ性のあるものになっています。さまざまな会社がこのような取り組みをしていますが、こうした一貫したメッセージ性の打ち出し方をまとめる役割をデザイナーが担うことは多いと思います。デザイナーには上手に言葉にまとめたり、ビジュアライズしたりする能力があるからです。

 そもそもスタイリングも含めたデザインには求心力があり、ワクワクするデザインには人をまとめる力があります。人をまとめるという意味では、デザイナーはファシリテーターとしてプロジェクトに入ることもあるでしょう。

 デザインの領域は広く、企画的な要素や設計的な要素もあり、その領域を橋渡ししてつなげていく。そこにデザイナーが発揮すべきコミュニケーション能力の価値があると思います。われわれの社名「ツナグデザイン」もそこに由来しています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]