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デザインがユニークな世界を拓く--ツナグデザインの根津氏 - (page 5)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-07-10 14:44

世界観をデザインする

--製品やサービスの世界観をデザインする上で意識していることは。

 根本的な思想をぶれさせないことです。私が一番信じているのは、実際に人と人が出会うことの価値です。そこにはモビリティの根源的な存在理由があります。それは別に車でなくても電車でもいいし、極端に言えば歩くことでもいいのです。人が移動することに根本的な価値があると信じています。


ミニ四駆PROシリーズ No.34 アストラルスター

 また、意識的にプロジェクトをごちゃごちゃに混ぜています。たとえば、ミニ四駆と実車の世界を行ったり来たりすることです。以前、「アストラルスター」というミニ四駆のデザインを担当したのですが、せっかく実車のデザイナーが手掛けるのだから、実車としての成立性をまじめに検証したい、とタミヤの田宮会長に提案しました。

 多くのミニ四駆では、デフォルメによって人が乗るところが小さくなっています。子供たちはそんなデザインにワクワクするわけですから、もちろんそういうデザインもありなわけです。でも、私は実車としての成立性がきちんと考えられたミニ四駆を作ったら、また違う層の人が喜ぶのではないかと考えました。結果、実車っぽいものは売れないというタミヤさんのジンクスを打ち破り(笑)、たくさんのファンを獲得して、実車系ミニ四駆の新しい流れを作ることができました。

 そしてこの「アストラルスター」と同じデザインでトヨタの「Camatte」を制作しました。ミニ四駆から実車へ、ある意味、実車をミニ四駆にしたダイハツ「コペン」の反対をやってみたわけです。

 余談になりますが、ミニ四駆を組み立てたり改造したりするときのワクワク感はモノ作りの原点だと思っています。ミニ四駆の工作教室も開催していますが、子供になにかやってもらうときには、最後にカタルシスがないとダメなんですね。トライ&エラーをくり返して、走ったときの子供の喜びようは半端なものではありません。

 一方で、大人社会に目を向けると、会社などではカタルシスを得づらい状況もあります。たとえば分業化です。分業化が悪いとは言いませんが、経営者は従業員ひとりひとりに対して、その仕事が世の中にどう貢献するのかを説明する義務と権利があると思いますし、従業員もそれを知る権利と義務があると思います。自分の時間のほとんどを費やしていることと世界との唯一のリンク、それが切れた状態では仕事のやりがいも生まれるわけがありません。

--会社の情報システムで工夫している点は。

 ITシステムとしては一般的だと思いますが、データのバックアップにはとてもこだわっています。われわれは資産のほとんどがデータです。それらを守るためのコストは相当かけていいと思っています。事務所にセコムを入れるのと同じ感覚です。

 もちろん、システムインテグレーターに頼めば早いのかもしれませんが、自分のデータは自分の納得のいく方法で、効果とコストのバランスで選んで守っていきたいと思っています。データの二重化、三重化は当然で、ローカルではRAIDを組んで、さらに2つの異なるサービスでクラウドに保存しています。それでも不安なのでHDDとBlu-rayにバックアップして金庫に入れています。このディスクも約5年ごとに更新しています。これだけやってそれでもデータを失ったら、それは神の思し召しでしょう(笑)

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