中国で、LinkedInのようなビジネスに特化したSNSが普及しない。Twitter後の「微博(Weibo)」、YouTube後の「優酷(Youku)」、Google後の「百度」のように、中国でもLinkedIn後に「大街」「天際」「優士」「人和」などのビジネス特化型SNSが続々と出てきた。
中国の調査会社「iResearch」が発表した「中国職業社交行業研究報告(中国ビジネス特化型SNS研究レポート)」によれば、2013年11月時点の中国でのビジネス特化型SNSの利用者数は177万6000人。レポートでは「2008年の11月の17万人と比べ、5年間で10倍増えた」と表現するが、とはいえどちらの利用者の数字も6億4000万人が利用する中国のインターネット市場規模からいえば少なすぎる。
ビジネス特化型SNSについての中国のニュースのタイトルは「中国商務社交網絡死亡観察」「中国商務社交網絡必死而復生」などといった具合で、その漢字の文字列から、よろしくない状況は把握できよう。いずれも内容としては「中国の風土や習慣にあわない」というもので、後者に関しては加えて「中国人の習慣に合った形でリリースし直せ」としている。「中国の風土や習慣にあわない」ことを中国語では「水土不服」という。中国で普及しなかったサービスは、日本から鳴物入りで参入したサービスも含め、だいたいこの4文字でばっさり斬られている。中国で新サービスを投入する際には「水土不服」と言われぬよう。
LinkedInと中国人の相性を考えるに、中国人は転職を繰り返し、日本人よりも身軽で、相性がよさそうに思える。それでもLinkedInのようなビジネス特化型SNSが普及しなかった理由「水土不服」とは具体的に何か。
まず中国人はドライな付き合いは合わないということがあげられる。中国で働いた人や取引先の中国企業に訪問した人なら経験したことはあるだろう、中国にも円卓を囲んで、アルコール度数の強い「白酒(バイジュー)」を飲む「飲みニケーション」がある。また社員同士、日本であれば土日まで一緒に遊ぶということはどちらかといえば少ないが、土日も社員同士で頻繁に会っては、家庭内でパーティを行ったり、ハイキングなどの野外活動を行うことはよくある。これにより信頼を強めるのだ。