世界67カ国、4000人を超える経営層を対象とした大規模調査「IBM Global CxO Study 2013」を読み解くこの企画も第5回目を迎えた。今回は日本企業にフォーカスし、日本企業が目指すべき「真のグローバル企業像」をテーマにしたい。
なお、日本IBMからは戦略コンサルティング アソシエイト・パートナーの小鹿文清氏に参加してもらい、今回もループス・コミュニケーションズ代表の斉藤徹氏のモデレーションですすめていく。
世界の中で特異な回答を示す日本のCEO
「2013 IBM Global CEO Study」の中で、日本のCEOの回答が際立っていることがある。それは「今後3年から5年の間で、企業に最も影響を与える外部要因はどれでしょうか」という問いに対する回答だ。
世界全体ではすでに下位になっている「グローバル化」が、日本のCEOの場合は3位となっている点だ。
日本IBMの戦略コンサルティング アソシエイト・パートナーの小鹿文清氏
過去の調査結果を見ても「グローバル化」は日本CEOの調査で上位に入っており、日本企業がグローバル化に苦労している実態が浮かび上がってくる。
「世界企業にとってグローバリティはすでに起こった過去ですが、日本企業にとっては現在においても大きな経営課題となっています。どのようにグローバル拠点を統合していくか、どのようなガバナンスを効かせればいいのか。そういった問題意識を持つ経営トップが多く見受けられます」と話すのは、日本IBMの小鹿氏だ。
マルチファンクショナル企業からグローバル企業へ
かつて日本の製造業が海外に進出していった時は、生産拠点の確保が中心だった。しかし、新興国が成長するにつれ変化が生まれる。生産拠点としてしか見ていなかった海外地域が次々と消費地として成長してきたのだ。アジア地域はその典型と言えるだろう。
生産拠点に加えて販売・流通の拠点として各地域の支社が成長する。さらに取引する海外の企業も増え、競合企業が出現してくる。そうなると海外拠点の業務オペレーションは一気に増え、それに企業のガバナンスも複雑化する。
世界の主要地域で開発、生産、物流、販売などの機能を設置し、各地域で自律的に事業運営を行う企業像、IBMはそれを「マルチファンクショナル企業」と呼んでいる。