既報の通り米IBMは、現地時間6月10日、クラウドコンピューティングとビッグデータ需要に必要なチップテクノロジの研究や開発のプログラムに、今後5年で30億ドルを投資すると発表した。これらの投資は、IBMの半導体分野でリーダーシップをはかるためという。
1つ目の研究プログラムは、現在の半導体のスケーリング手法を発展させ、チップの製造能力の妨げとなる物理的な課題に取り組むものだ。「7ナノメートル以降のシリコンテクノロジ」と呼ばれている技術を目指す。
2つ目の研究プログラムは、ポストシリコン時代のチップ向けの代替技術の開発に焦点をあてているとした。IBMの研究員によれば、シリコンを基盤としたチップの物理的限界により、全く異なるアプローチの必要性が生じているという。
クラウドとビッグデータアプリケーション分野は現在、チップテクノロジが物理的なスケーリングの限界に直面しているという。メモリの帯域幅、高速通信、デバイスの電力消費などを課題として挙げている。
IBMではニューヨーク州アルバニーとヨークタウン、カリフォルニア州アルマデン、欧州の研究員とエンジニアが、各研究に取り組む。具体的には、IBMはカーボン・ナノエレクトロニクス、シリコン・フォトニクス、新しいメモリ技術、量子コンピューティング、コグニティブコンピューティングを支えるアーキテクチャといった研究分野にすでに取り組んでいるが、新たにこれらの研究分野に投資をする。ナノ科学と量子コンピューティングという2つの基礎科学に関する研究に引き続き投資を継続する。
また。半導体業界向けに未来のテクノロジの探求、開発のために、NanoElectornics Research Initiative (NRI), the Semiconductor Advanced Research Network (STARnet), the Global Research Consortium (GRC) of the Semiconductor Research Corporationなどと官民が連携するパートナーシップを通じ、大学での研究を引き続き支援するとした。