2000年に設立されたFalconStorは、統合バックアップおよびリストアの製品やサービスを提供する企業。2001年には日本法人ファルコンストア・ジャパンを設立し、国内外の大手事業者を通じて展開している。
今回は、米FalconStorのプレジデントであり最高経営責任者(CEO)であるGary Quinn氏に、バックアップなどのデータ保護の現状と問題点などについて話を聞いた。
米FalconStor 最高経営責任者(CEO)Gary Quinn氏
――バックアップを中心にデータ保護では最近どのようなことが注目されているのか。
バックアップに限らず、最近はデータ移行のニーズが高まっています。その理由の1つにクラウドへのパラダイムシフトがあります。まったく同じ機器構成の環境を移行する場合は問題ないが、構成が異なるシステム間でのデータ移行や、オンプレミスからプライベートクラウド、プライベートからパブリッククラウドなどでデータの移行、移動する際の問題が顕在化しています。こうしたデータの移行には、統一されたデータのモビリティ、データ保護、データの自動的な復旧サービスなどをサポートする基盤が必要になります。
もちろん、事業継続計画(BCP)を視野に入れたバックアップのニーズもありますが、データ移行のニーズは徐々に盛り上がってきている印象です。大きな自然災害が発生したのであればともかく、多くの顧客はあまり意識されていません。日本の場合は東日本大震災の発生後に特需的なニーズの高まりがありましたが、2013年はBCPや災害復旧(DR)が単体で予算化されるケースはほとんどありませんでした。ただ、震災以降はシステムを新たにリプレイスする際にデータ保護がきちんと要件に加えられることが一般的になっています。
しかし最近では、BCPを災害ではなく業務改善の視点で導入するケースが増えています。システムをクラウドに移行することで可用性やコストメリットを活かし、優れた業務を目指そうという動きです。そうすると必然的にデータの移行が必要になり、われわれのサービスを利用するケースが増えています。
一方で、クラウドの大手事業者が倒産するというケースが米国で実際に発生し、ユーザーは他の事業者にデータを移行せざるを得なくなりました。データの移行は常に意識しておくべきことなのです。
中小企業ではほとんどありませんが、中堅大企業はハイブリッドクラウドを導入しています。そのため、自社のオンプレミスの環境あるいはデータセンターに預けているプライベートクラウドの環境と、パブリッククラウドの環境の間でどうやってデータをやり取りするかが課題になってきています。以前はウェブのクエリを投げ合うなど、大きなデータ量が流れるようなことは少なかったのですが、最近はクラウドファーストと考える顧客が多くなりました。
また日本の場合は、2011~2012年はデータの移動というよりも「施設の老朽化」「震災で施設に影響が出た」「耐震性に不安がある」といった理由でデータセンターにデータを移すケースが多くありました。2013年はそれが落ち着いてきて、クラウドファーストが始まった印象です。
どのくらい増えているかというと、前は四半期に1~2件だった案件数が、現在は5~6件、2014年度の見込みは、2013年度の実績と比較して約2倍、100%増が予定されています。対象となる容量も、2013年度は中央値で1~5テラバイトの案件が多かったのですが、今年度は10~15テラバイトとなっており、特に大規模環境での移設、更新がより多く発生している状況です。