トレンドマイクロは7月16日、オンライン銀行口座の不正操作を最終的な目的とするマルウェアの脅威からネットバンキングの利用者を守るためのサービス「金融機関向けインターネット不正送金対策サービス」の提供を開始した。今後3年間で40金融機関と連携してサービス提供することを目指す。
ネットバンキング利用者を狙ったオンライン銀行詐欺ツールが猛威を振るっており、トレンドマイクロの調べによると、5月時点でオンライン銀行詐欺ツールの検出台数は、2013年の年間の平均月間検出台数の約5倍にあたる1万102台に達している。警察庁の発表によると、国内での不正送金被害は、5月9日時点で2013年の年間の被害総額を上回る14億1700万円に上る。
今回のサービスは、各金融機関や金融機関向けシステムの運用パートナー企業と連携し、ネットバンキング利用者向けの相談窓口(コールセンター)を開設、トレンドマイクロが問い合わせに対応するというもの。利用者からの問い合わせに対してオンライン銀行詐欺ツールの感染有無を調査、分析して駆除などの作業を支援する。
相談窓口では、担当オペレーターがコンピュータの状況調査からログを採取、分析し、必要に応じてリモートでマルウェア駆除作業を代行する。今回のサービスは、トレンドマイクロ製品の利用有無に関係なく、各提携金融機関の利用者に対して提供する。提供するサービスやネットバンキング利用者のサービス利用方法、各金融機関との提携内容で異なる。
提携する金融機関向けには、セキュリティ向上のためのサービスも提供される。具体的には、提携金融機関からの問い合わせやマルウェア解析依頼に24時間365日の体制で対応、利用者向け相談窓口への問い合わせ状況をまとめた月次レポートを提供して定期報告会を開く。金融機関の担当者向け脅威情報の共有プログラムなど、トレンドマイクロのセキュリティ技術者から金融機関にオンサイトでサポートする。
脅威となっているネットバンキングを狙ったフィッシング詐欺サイトの早期発見サービスも提供する。このサービスでは、金融機関から指定されたドメインを含むURLの悪用について、トレンドマイクロの脅威データベースを通して監視し、金融機関に対していち早く情報を提供する。
トレンドマイクロは、ネットバンキング利用者がオンライン銀行詐欺ツールの被害に遭わないよう、その手口や不正送金被害を避けるためのヒントなどを説明したブログや動画などを通じてセキュリティ啓発活動も展開している。