本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本HPの手島主税執行役員と、富士通の前村和史ERPビジネスセンター長の発言を紹介する。
「これからは4大ワークロードの革新に向けた新たなITが求められる」 (日本HP 手島主税 執行役員)
日本HP 執行役員 手島主税氏
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が先ごろ、エンジニアを対象としたプライベートイベント「HP Tech Power Club 2014」を開催した。同社執行役員でHPサーバ事業統括本部長を務める手島氏の冒頭の発言は、その基調講演で、今後の企業向けコンピューティングの方向性について述べたものである。
手島氏は、「これからのコンピューティングでは、多様化するワークロードに対してITを活用することによって、いかに迅速にビジネスに直結した戦略展開を図っていけるかが非常に重要な取り組みとなる」と語り、HPとして多様化するワークロードを次の4つに分類して今後の技術革新を進めていくことを明らかにした。
まず1つ目は「コアビジネスアプリケーション」。いわゆる従来の汎用的なアプリケーションのことで、この領域では総所有コスト(TCO)の効率化向上に向けた技術がキーとなる。HPが注力しているサーバの“自働化”もこの領域における取り組みだ。
2つ目は「ビッグデータ、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)、ウェブ関連」。この領域では、とくにスケールアウトのための高密度実装技術がキーとなる。3つ目は「仮想化/クラウド環境」。この領域では、ITサービスのための統合型サービスがキーとなる。
そして4つ目は「ミッションクリティカル環境」。この領域では、事業継続のための信頼性や拡張性がキーとなる。さらに従来の基幹システムだけでなく、最近ではビッグデータのマネジメントなどでもミッションクリティカル環境を求められるケースが増えていると手島氏は説明した。
HPではこうした4つのワークロードを「4大ワークロード」と定義し、今後はそれぞれに特化した形での製品ラインアップを図っていくことを強調した。
さらに今回のイベントでは、4大ワークロードのうち「ビッグデータ、HPC、ウェブ関連」「仮想化/クラウド環境」「ミッションクリティカル環境」の3つの領域を対象にしたエンジニアのコミュニティ「HP Tech Power Club」を新たに発足した。
このコミュニティでは、HPとともにパートナー企業や顧客企業の中から指導的立場に立つフェローと、継続的に技術を習得・レビューするメンバーによって、新たなコンピューティング技術をさまざまなワーキンググループ形態を通じて研究し、ビジネスへの活用を図っていくという。