新たなコミュニティの発足を宣言した手島氏は、「ここから日本の社会に貢献できるような技術革新を起こすとともに、それをさらに世界へ発信していきたい」と抱負を語った。キャッチフレーズは「集結せよ! 日本の凄腕テクノロジストたち」。技術革新にこだわる日本HPの新たな取り組みが大きく広がっていくか、注目しておきたい。
「SAP導入ユーザーが抱える課題にきめ細かく対応していきたい」 (富士通 前村和史 ERPビジネスセンター長)
富士通 ERPビジネスセンター長 前村和史氏
富士通が先ごろ、SAP製品を利用中の顧客に向けて、システムの最適化とコスト削減などを実現するサービス群を「FUJITSU ERPモダナイゼーションサービス for SAPソリューション」として体系化するとともに、それに基づく新サービス2種と強化サービス3種を順次提供すると発表した。同社の産業や流通システム事業本部でERPビジネスセンター長を務める前村氏の冒頭の発言は、その発表会見で、SAPの製品やサービスを提供するうえでの同社の基本姿勢を表したものである。
同社が今回体系化したFUJITSU ERPモダナイゼーションサービス for SAPソリューションは、利用中のSAPシステムの状態を可視化したうえで診断し、スリム化や最適化を図ることで、コスト削減やビジネス環境の変化に強い柔軟なシステムを実現するという。これによって顧客のビジネスイノベーションに貢献するものとしている。
今回の発表内容の詳細については関連記事を参照いただくとして、ここではSAPユーザーが抱える課題と対策についての前村氏の説明にフォーカスを当てたい。
それによると、まず顧客の悩みとしては「既存のSAPシステムの運用コストが高い」「拠点ごとでさまざまなバージョン、インスタンス、テンプレートのSAPが乱立している」「M&Aなど業務、業容の変化に迅速に対応できない」といった点が挙げられる。
それらを改善するテーマとして挙げられるのは、「SAP資産の最適化」「グローバル共通の経営基盤の導入」「ユーザビリティの高いシステムの導入による生産性向上」といった点だ。
そして、そうした改善を図っていくためのITテーマとして、「業務プロセスの改善/フロント機能改善」「グローバルERP統合」「ITインフラの仮想化」「マイグレーション」「保守運用プロセスの改善」といった5つのポイントを挙げている。この5つのITテーマに対応すべくサービス群を体系化したのが、FUJITSU ERPモダナイゼーションサービス for SAPソリューションである。
では、競合他社との差別化ポイントはどこにあるのか。発表会見の質疑応答で聞いたところ、前村氏はこう答えた。
「SAPソリューションに関してこれだけ手厚いサービスを取り揃えているのは、当社だけだと自負している」
富士通は1996年よりSAPビジネスに参入して以来、日本企業として唯一、テクノロジ、サービス、ホスティングの3領域にわたるSAPグローバルパートナー認定を取得し、幅広くSAPソリューションを展開してきた。同氏が言う「手厚いサービス」はこうした背景があっての積み重ねが生み出したものといえるだろう。