マレーシア機撃墜の影響--7月22日週の日本株見通し

ZDNet Japan Staff 2014年07月22日 11時14分

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 18日の金曜日、日経平均株価は、154円安の1万5215円となった。17日に東ウクライナでマレーシア航空機が撃墜されたニュースを受けて1ドル101円台の前半に円高が進んだことが嫌気された。

マレーシア機墜落問題でロシアへの責任追及が始まる

 マレーシア機の撃墜に親ロシア派武装勢力の関与が疑われている。誤射とはいえ、民間機が撃墜されて多数の旅客が犠牲になった問題を国際社会は看過できない。

 まずは原因究明を急ぐことになる。ところが、親ロ派武装勢力は原因究明に協力的でないばかりか、証拠隠滅をはかっている可能性もある。

 一部では、親ロ派勢力に武器を渡していたのがロシア軍であると言われている。国際社会は、親ロ派を通じて戦闘行為に加担していたロシアの責任を追及することになる。ロシアに対して、追加の経済制裁が課せられる可能性もある。

 マレーシア機撃墜をめぐりロシアと欧米の対立の溝はさらに深まりそうだ。

それでも世界景気を腰折れさせる要因にはならない

 マレーシア機撃墜は重大な政治問題を巻き起こしているが、それでも、現時点で、世界景気を腰折れさせる事態に発展するとは考えられない。それには、3つの理由がある。

・対ロシア経済制裁で欧米諸国の足並みがそろわず

 ロシアへの追加制裁は、経済に深刻な影響を与えない形式的なものとなるだろう。ロシアに本格的な経済制裁を課すことにはドイツが賛成しない。ドイツは国内で使用する天然ガスの約8割をロシアに依存している上に、ロシアに工業製品をたくさん輸出しているからだ。

 ロシアとの貿易が途絶えるとドイツも経済的に大きなダメージを受ける。他の欧州諸国も、何らかの形でダメージを受ける。ロシアへの経済制裁は、する側も無傷ではいられない。

 米国も、ロシアへの本格的な制裁には積極的ではない。米国は現在、東アジアでの中国の脅威や、中東でのイスラム過激派勢力の台頭にどう対処するかで手一杯で、ウクライナ問題に積極的に関与する余裕がないからだ。米国は、まずはウクライナでの即時停戦をロシアに求めていくという形で関与していくことになるだろう。

 我が国もロシアへの制裁に現時点では積極的ではない。安倍内閣はプーチン大統領との対話を続けると表明している。ロシア産の安いガスの輸入を実現しながら、北方領土返還への道筋をつけることが安倍内閣の基本戦略だったからだ。

・世界的に原油需給がひっ迫する可能性は低い

 ロシアに追加の経済制裁が実行され、ロシア産原油の供給が減ると、世界的に原油価格が高騰する原因となる。

 折しも、イスラエル軍がパレスチナのガザ地区へ侵攻を始め、イラクでは過激派勢力が樹立した「イスラム国」が支配地域を拡大するなど、中東でも地政学リスクが高まりつつある。

 ロシアとイラクの原油供給が同時に大きく減少すれば、一時的に原油価格が高騰する可能性が高まる。原油急騰は世界景気を腰折れさせる要因になる。

 ところが、現時点では、世界的に原油供給は余力があり、ロシアやイラクの供給がある程度減っても、すぐに原油価格が高騰するとは考えられない。米国でシェールガス、シェールオイルの増産が進み、米国の輸入が減っていることも影響している。

・米ソ冷戦が復活するリスクは現時点では低い

 ウクライナ問題がさらにこじれて、かつての米ソ冷戦に近い状態が復活すれば、世界景気に深刻な影響を与える。ただし、そのリスクは、現時点で低いと考えられる。

 ロシアは今、米国とケンカしたいと思っていないし、米国も、中東の地政学リスクや中国の海洋進出にどう対処するかが重要な今、あえてロシアとの対立を深めようとしないからだ。

 もし、ロシアと中国が急接近して、日米欧に対抗する勢力になると脅威だが、そのリスクも現時点では低いと考えられる。中国は表面友好を装っているが、日中以上に深刻な領土問題をかかえているからだ。

 また、ウクライナ紛争に関して、中国がロシアを支援することはありえない。中国は、国内でウイグル族やチベット族の独立運動に手を焼いているからだ。ロシア系民族がウクライナから独立することを支援することは、少数民族を抑え込んでいる中国には不可能だ。

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