Google Cloud Platformは先発のAWS、Azureに対抗できるか - (page 2)

Conner Forrest (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2014-07-24 07:30

 ただしGoldfarb氏によれば、Googleは次の3点で差別化を行っているという。

  1. 価格と性能。GoogleはCloud Platformのビジネスモデルで、自動割引や独自の特徴を提供している。
  2. 技術的な機能。「当社はクラウド第一の企業だ」とGoldfarb氏は言う。同氏によれば、Googleは自社のエンジニアがクラウドによるサービスを実現する際に用いるツールを構築しており、これが一般向けの製品に作り変えられているという。
  3. 革新性。このサービスの顧客は、Goldfarb氏が「独自の競争上の優位性」と称する技術的な新機能を、Googleが作り次第利用できるようになる。例えば、新しく提供されるCloud Dataflowについて同氏は、「このようなものは世界にほかにはない」と話す。

 だが、最も大きな問題の1つは、当初Google Cloud Platformは、大企業に合わせて作られていなかったということだ。

 最初はIaaSとして主に新興企業を対象としており、サポートしていたのはPythonだけで、大企業に必要な堅牢なサービスは提供できていなかった。Staten氏によれば、大企業はPythonだけでコーディングするものではなく、PHP、Ruby、Javaなども利用する。そのうち1つしかサポートされていないのでは、あまり魅力はない。

 もちろん、その後ほかの言語にも対応するようになっており、魅力は若干高まった。しかし、Staten氏はGoogleはまだ基本的なものしか提供できていないと話す。同氏は、今日のクラウドプラットフォームの真価は、インフラを取り巻くエコシステムにあり、Googleは競争力を発揮するのに必要なCloud Platformを取り巻くエコシステムをまだ持っていないと述べている。

 「戦場は、すでにベースとなるIaaSではなくなっている」とStaten氏は言う。「問題はデータセンターの数でも、計算インスタンスの実行速度などでもない。今、主戦場となっているのは、プラットフォームの上、そしてそれを超えたところで利用できるサービスであり、さらに重要なのは、それらのサービスを取り巻くエコシステムだ」

 これが、エンタープライズ顧客がAWSやAzureを選ぶ理由の一部だという。彼らがそのプラットフォームを選択するのは、知り合いもそれを使っているからだ。このため、同僚や他社の人の経験に頼ったり、アドバイスを受けたり、ベストプラクティスを学んだりすることもできる。Staten氏はまた、多くの企業がすでに知っており、安心できるパートナーが多いという点も指摘した。一部の企業は、単にAmazonやIBM、RackSpace、Microsoftなどの企業と協力する方が、より安心できると考えている。

 それでも、クラウドサービスをGoogleに頼る企業もある。Googleの顧客リストには、競合相手のようにFortune 500企業は多くないかもしれないが、Khan Academy、Rovio、Gigya、Pulse、Snapchatなどのよく知られた企業が入っている。

 「エコシステムにおけるパートナーに関する当社の基本的な目的は、パートナーを後押しすることだ」とGoldfarb氏は言う。

 Goldfarb氏は、Googleの優先課題の中には、パートナーのエコシステムと協力し、オープンソースコミュニティーに関与することが含まれていると指摘する。同氏はまた、オープンソースに力を入れていることも、競合他社との相違点だと考えている。

 Staten氏によれば、Googleの取るべき最初のステップは、既存製品の顧客に働きかけることだ。エコシステムを成長させ、繁栄させるには、GoogleはCloud Platformの潜在顧客に、同社の他の製品を使う理由を与える必要がある。

 「現在、もし私がAndroidアプリケーションを作りたいか、Googleのアプリケーションを拡張したい、またはいずれかのGoogleの技術を活用したいと思っても、それをGoogle Cloud Platform上で行うべき理由は特にない」と同氏は言う。「実際私にとっては、Amazonやほかの利用可能なクラウドプラットフォームを使う方が、簡単でより効果的だ」

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