――投資先を選ぶ際のCTOとしての役割や条件とは。
CTOとしての役割ですが、市場で基本的に何に投資すべきか見極めることが私の仕事です。私としては、ビジネスのため経済的な基本要素(ファンダメンタルズ)が戦略的に有効なものであることを見極めて、投資判断をしています。その先の情報の収集や具体的な投資は、製品担当のバイスプレジデント(VP)がおり、その人の仕事になります。
また、製品担当、エンジニアリング担当のVPがいます。その人たちが開発するとなったらどのくらいのコストがかかるのか、測定するにあたり、メンテナンスはどのくらいかかるのかなど具体的なところに落とし込んだ計算をしていきます。
――日本市場をどう捉えているか。
Infobloxが日本市場に進出したのは2001年です。日本市場は、話題性だけで新しいものに飛びつくようなことがなく、価値の基本要素の部分を興味をもって考えてくれている市場だと思います。CTOとして見ると、日本人はファンダメンタルズを大切にしている印象があります。特にSDNのスタンダードになりつつある規格「OpenFlow」の初期のアダプタ(採用者)であり、OpenFlowを現実のものとして捉えているのだと感じます。それはデータセンターの中だけでなく、外においても同様です。
――今後5年で注目しているテクノロジは。
Infobloxの投資の中心は、やはりアプリケーションです。データセンターで考えると、オープンソースのIaaS基盤構築管理ソフト「OpenStack」やVMware製品のプラグインを充実させていくとか、セキュリティ面では一番注力しているコントロールプレーンのセキュリティをもっと充実させていきます。
特に注力したいと思っているのはコントロールパネルのセキュリティですね。クラウド環境を幅広くしていくことも考えていますが、そこにもセキュリティは入ってきます。また、SDN以降の長期的なテクノロジを考えると、IoTだと思います。SDNと同様に、IoTもよくわからないという人が多いですが、ファンダメンタルズとして何がいいかを私自身が探求していきたいと思っています。
IoT体験の最初は、いかにしてインターコネクトされた体験をしていくかになると思います。(モノとモノが)互いに接続されており、そこから便益を得るという体験ですね。IoTの価値は業界自体が取り組みを(サービスとして)産業化していくか、ユーザーに対して(取り組みを)透明性を持って伝えていくかになります。いずれIoTは完全にプログラマブルになり、まったく新しい世代のテクノロジ、体験をユーザーが感じていくものになっていく気がします。
コンピュータやテクノロジがユーザーの目の前から消えたときがIoTが実現された状態だと思います。(その世界が実現されたとき)5年後にインタビューがあったとして、カメラもボイスレコーダーも要らないかも知れません。瞬きすれば写真やビデオが撮れて、会社に帰ったら記事できている時代になっているのかもしれませんね。