松岡功の「今週の明言」

ノベル社長が説く「商用SDN不要論」

松岡功

2014-07-25 15:36

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、ノベルの河合哲也代表取締役社長と、SAPジャパンの馬場渉バイスプレジデント兼チーフ・イノベーション・オフィサーの発言を紹介する。

「OpenStackに高可用性(HA)機能を搭載すれば、商用SDNはいらなくなる」
(ノベル 河合哲也 代表取締役社長)


ノベル 代表取締役社長 河合哲也氏

 ノベルが先ごろ、オープンソースのクラウド基盤構築用ソフトウェア「OpenStack」の最新動向とそれに関連するSUSE事業の取り組みについて記者説明会を開いた。河合氏の冒頭の発言は、その説明会で、同社が目指している方向性を示したものである。

 ノベルは独SUSEの商用Linuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise」を国内で販売している。河合氏によると、SUSEは同社の調査において、メインフレーム向けLinuxの80%以上、SAP向けLinuxの70%以上、ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)向けLinuxの50%以上と、ハイエンドLinux市場で高いシェアを獲得しているという。

 そうした強みを持つSUSEは、OpenStackにも力を入れている。同社はOpenStackの推進プロジェクト「OpenStack Foundation」のプラチナメンバーとして積極的に活動しており、OpenStackベースのプライベートクラウドソリューション「SUSE Cloud」も展開している。

 河合氏は、OpenStackがエンタープライズ市場で本格的に使われるようになるためには、「24時間×7日間の連続稼働を実現する高可用性(High Availability:HA)機能の実装」「容易なオペレーション」「複数のハイパーバイザが混在する環境のサポート」「アップデートツールの提供」といった4つの条件を満たす必要があると説明。それに対し、「SUSE LinuxとSUSE Cloudはすべての条件を満たしている」と強調した。

 とりわけ、SUSE Cloudが実装しているHA機能については、プライベートクラウドで経路制御などの計算を担う「コントロールプレーン」のダウンタイム(システム停止時間)に起因するサービス障害を回避できるとともに、機敏性が求められる業務処理に必要なリソースへの継続的なアクセスを保証するなど、ハイエンドを得意とするSUSEならではの技術が盛り込まれているという。

 そして、河合は説明の最後にこう訴えた。

 「私たちはすでに現行のOpenStackで、ネットワークノードも含めたHA機能を提供できる。それを活用すれば、もはや商用SDN(Software-Defined Networking)はいらなくなる」

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