「ローフォーマットとカラムフォーマットは完全に同期しており、ローフォーマットで加えた変更は即座にカラムフォーマットに反映され、データの一貫性は保証されている。OLTPのアプリケーションはローフォーマットで、DWHのアプリケーションはカラムフォーマットでデータにアクセスするので、既存のアプリケーションに手を加える必要のない、アプリケーション透過のインメモリ技術が実現できた」(Shetler氏)
デュアルフォーマットアーキテクチャの採用でOLTPのデータベースを分析用にコピーする必要がなくなり、常に最新のデータを対象に分析できる。

Oracle Oracle Database製品管理担当バイスプレジデント Tim Shetler氏
従来、ローフォーマットのテーブルを対象にリアルタイムに分析するには、分析用インデックスを大量に生成しておく必要があった。デュアルフォーマットアーキテクチャでは分析に適したカラムフォーマットが利用できるため、そうした分析用インデックスが不要になる。これによりデータベースのサイズを削減し、インデックスの生成や更新によるオーバーヘッドを排除できるという。Database In-Memoryでは、データのスキャンを高速化するために、CPUのSIMD命令を利用しており、CPUコアあたり1秒間に数十億行の性能を実現しているそうだ。
アプリケーション透過なだけでなく、Oracle DBの周辺製品群との互換性を備えていることもポイントだ。例えば、クラスタウェアの「Oracle Real Application Clusters(RAC)」と組み合わせれば、インメモリデータベースをスケールアウトでき、同時に耐障害性や可用性も高められる。
「他のインメモリデータベースでは、障害発生時のデータの再ロードに数分から数十分かかる製品もある。Database In-MemoryとRACなら、障害発生時も継続的な可用性を享受できる」(Shetler氏)

日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括 三澤智光氏
年末までにインメモリ技術者1000人を育成
日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括の三澤智光氏は「データベース市場を牽引してきたオラクルには、非常にたくさんの既存顧客がいる。どんなに画期的な新技術でも、これを使うために“いちからやり直してください”とは言えない。顧客の既存のデータ資産、アプリケーション資産を守ることがオラクルの使命」と説明した。
三澤氏は「日本には、約1000社のパートナー企業と、約24万人のORACLE技術者(ORACLE MASTERの累計取得者数)がいる。この強みを生かして既存のユーザー企業2万8000社にインメモリ技術を提供していく」と、既存顧客を中心とした販売戦略を説明した。
具体的な施策としては、パートナー企業も含めて、1000人のインメモリデータベース技術者を育成するという。また、インメモリ化でどれくらいの高速化が図れるかを診断する、インメモリアセスメントサービスを無償で提供する。このほか、パートナー企業によるインメモリコンピテンシーセンターの設立など、インメモリ技術の浸透策を並行して展開していく。