NECは7月28日、クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」のサービスを強化すると発表した。同サービスを含むクラウド基盤事業について、2017年度に1200億円の売り上げを目指すとしている。
NEC Cloud IaaSでは、NEC神奈川データセンターを活用し、サーバやストレージなどのICT資源をサービスとして提供している。コストパフォーマンスの高い「NEC Cloud IaaS (スタンダード:STD)」と、高性能、高信頼を実現した「NEC Cloud IaaS (ハイアベイラビリティ:HA)」の2種のサービスを用意している。
この2種のIaaSを組み合わせて利用するだけでなく、同データセンターで提供しているハウジングサービスも含めてシステム連携させることで、顧客システム全体を柔軟かつ容易にクラウド環境へ移行し、運用できるという。
NEC Cloud IaaS利用時におけるシステム構成の設計パターン集を、同日からウェブ上で公開。基本構成に加えて、サーバ冗長化、サーバ処理性能向上、ハウジングシステムやオンプレミスシステムとの連携、複数クラウド基盤サービスの統合運用管理など約20種の設計パターンを提示する。これにより、サービス利用時の最適なシステムを迅速に設計できるようにする。また、設計パターンを2014年度末までに約40種に拡充する予定だ。
「NEC Cloud IaaS」の全体図(NEC提供)
NEC Cloud IaaS (HA)の提供基盤であるIAサーバ「Express5800/ECO CENTER」シリーズが、SAPのハードウェア認定を取得(認定取得済みゲストOS:Windows Server、RedHat Enterprise Linux)し、同社アプリケーションの稼働を正式にサポート。これにより顧客は、NEC Cloud IaaS(HA)の特徴である高性能、高信頼なクラウド基盤上で、SAPのさまざまなアプリケーションを安全に運用できるという。
NEC神奈川データセンターは、米国公認会計士協会が定めた受託会社におけるセキュリティや可用性などに関する内部統制保証報告書「SOC2保証報告書」を取得。
SOC2保証報告書は、米国公認会計士協会(AICPA)が定めたガイドに基づき、特定の業務を外部企業(受託会社)に委託する際の、受託会社におけるセキュリティや可用性などに関する内部統制の有効性を保証する報告書だ。
報告書は、業務を委託する企業(委託会社)に配布できる。今回は、一時点の評価であるSOC2 Type1を取得。2015年1月以降、一定期間における評価であるSOC2 Type2を取得する予定としている。これにより、データの安全性やシステムの信頼性に関して、顧客に説明しやすくし、顧客の内部統制監査対応業務の効率化を実現できる。
NECは今後、クラウド基盤事業の拡大に向けて、NEC Cloud IaaSと顧客構築システム向けクラウド基盤製品の連携強化、PaaSなどのサービスメニュー拡充、海外を含むサービス提供拠点の拡大などに取り組むとのこと。