ノークリサーチは7月28日、中堅・中小企業におけるスマートデバイス端末の調達や管理に関する調査結果を公表した。年商100億円未満の中堅、中小企業ではBYOD(Bring Your Own Device:私物端末の業務利用)を選ぶ割合が2割程度にとどまっており、端末調達方法の選択を左右するのは「管理/運用の負担を減らせるか」という観点だと分析した。
スマートデバイス活用に取り組み済み/取り組み予定の年商100億円未満の企業に、スマートデバイス端末の調達手段を尋ねた結果「自社で一括購入している」や「自社でリース購入している」が比較的多かった。
一方「個人所有端末であり、社内で正式に承認されている」と「個人所有端末だが、社内で正式に承認されていない」の双方を合わせた回答割合は2割程度にとどまった。「年商100億円未満の企業層においてはBYODへのニーズはそれほど高くない」との見解を示した。
コスト削減を期待せず
ここで、自社で一括して購入しているとする企業に、端末調達手段の選択理由を聞いた結果、「端末調達の費用負担を抑えたいから」「管理/運用の負担を軽減したいから」が上位となった。
中堅、中小企業の多くは個人所有端末を利用することによる費用削減効果を期待しておらず、リースやレンタルと比較して一括購入が調達の費用負担軽減には有効と考えていることがわかる。スマートデバイスは進化のスピードが速く、端末メーカーが新製品を提供するサイクルもPCやサーバと比べて短い。
レンタルの契約期間中に機種変更を迫られることも考えられるため「一括購入がコスト面のリスクが最も低い」と判断する企業が多いという。
中堅、中小企業が個人所有端末を利用することによる費用削減効果を期待しない最も大きな理由は管理、運用の負担が大きくなることにある。
個人所有端末は形状やOSが多岐にわたるため、管理には「モバイルデバイスマネジメント(MDM)」など新たなツールが必要となる。大企業であれば、管理よりも端末購入コスト削減の方が利点が大きいこともあるが、中堅、中小企業では管理コストの負担の大きくなる。結果として、形状や機種を統一しやすい「企業による調達」を選ぶことになるとしている。
タブレットかスマートフォンか
同じユーザー層に、導入済みまたは導入予定のスマートデバイス端末形状について聞いている。
「タブレットが主体」が約4割と最も多く、「スマートフォンが主体」が3割弱、「スマートフォンとタブレットが混在」が2割強だった。年商規模と各選択肢の割合には明確な相関が見られるが、年商100億円未満においては、選択の理由として、「スマートフォンが主体」と「タブレットが主体」のいずれの場合においても「業務の観点から最適な画面サイズだから」「社員にとって操作しやすいサイズだから」といった項目を多く挙げている。
「業務に適した使いやすい画面サイズ」という点ではスマートフォンとタブレットの双方にニーズがあり、どちらか一方が良いとは必ずしも言えないとのこと。
ただし、「社員が持ち歩く時に携帯しやすいから」という項目ではタブレットにおける回答割合がやや低く、可搬性という面ではスマートフォンを支持する企業が多い。
いずれにしても、スマートデバイス活用を提案する側としては「ユーザー企業における活用シナリオをよく理解した上での端末選択提案」が重要だとノークリサーチは分析した。