顧客からの質問例
多くの顧客からの相談の中で最も典型的なものは次の通りだ。
外回りの営業も製造ラインも管理職も一般職も、とにかく同時に導入しなければならない。
導入の旗振りを任された情報システム部門としては、
- 何から始めればいいのかがわからない
- ユーザー部門からは、様々なリクエストはあがるが、具体性がなくて実現ステップを描けない
- 「ノートPCを持ち歩けるようにすれば、十分なのではないか」など、タブレットとPCの違いを役員に質問され困っている
- ROIを求められると、どのような効果があるのかを説明できない。または、導入コスト以上のリターンを算出できず、経営者とユーザー部門との間で板挟みになっている
といったものに集約されることが多い。
ここで筆者は必ず、シンプルな質問をする。
- 何のために、スマートデバイスを導入したいか
- スマートデバイスを導入して、優先的に解決しなければならない課題は何か
スマートデバイスの利用は、大きく4つのモデルに分類できるが、利用される目的や環境によって、選択されるデバイスの種類(スマートフォンやタブレットなど)は異なり、また求められるスペックも異なってくる。
スマートデバイスの利用モデル
昨今、注目されるフィールドワークの現場では、これまで以上に堅牢性(頑丈さ)を求め、頑丈で防水、防塵、防爆などに対応するカバーや端末そのものを選択しなければならない場合もある。
ラグドデバイスの位置づけ
例えば店舗での接客を想定した場合、スマートフォンのような4~7インチ程度の画面では顧客と画面をシェアすることも難しく、そこはやはり、10インチ程度のサイズのタブレットが適していることになるであろう。
一方、建設の現場などでは、10インチのタブレットでは、両手が塞がってしまうため、むしろ片手で利用できる4~5インチ程度のサイズの方が、使い勝手が良いことが多い。しかも、手袋をして利用するであろうこの業務には、ガラス面はハードコーティングされ、防水、堅牢性といった性能が必要になることは、すでに解説した通りである。
このように、利用目的や利用環境によって、デバイスの選定や、ユーザーインターフェース(UI)のデザインが大きく異なることになる。
くどいようだが、「何のために、そして、誰のためにスマートデバイスを導入するのか」を予め明確にしておくことはその後の導入の成否を大きく分ける。