8.トイレのデザインの変革
ビル&メリンダ・ゲイツ財団は2012年に「Reinvent the Toilet Challenge」(トイレ再発明チャレンジ)を開催した。これは、世界で25億人が、安全で清潔なトイレを利用できない状況にあるためだ。このチャレンジの勝者はカリフォルニア工科大学の研究者とエンジニアで、し尿を従来よりもはるかに少ないエネルギーと費用で肥料に変えるトイレを作った。このトイレはソーラーパネルから供給される電力で、し尿を電気化学的に肥料の材料となる物質と燃料電池で使用できる水素に分解する。この水素は反応装置に保存され、曇りの日やソーラーパネルが使えないときにトイレに電力を供給するのに使われる。リサイクルされた水は、トイレに戻されて再使用される。また、この設備は完全にそれ単体で機能し、下水と接続する必要はない。このトイレは20年間使用でき、コストは1日当たり11セントしかかからない。これはまだ試験段階にあり、インドでプロジェクトが進められているが、Kohler(有名な衛生器具メーカー)もこのプロジェクトを拡大するためのシステムの設計に取り組んでいる。
9.データ収集ドローン
これらのPrecisionHawk製ドローンは、農家のためのデータ収集に使われる。
提供:PrecisionHawk
カリフォルニアで起こったような壊滅的な干ばつがあると、農家やテクノロジ企業、研究者には、廃水や水の使用状況を監視するセンサやドローンは魅力的な投資先に見えてくる。こういったドローンを作っている会社の1つが、インディアナ州に本拠を置く新興企業、PrecisionHawkだ。同社は小さな飛行機に似た空を飛行するドローンを使い、農場を監視し、調査している。PrecisionHawkの目標は、これらのドローンを農家の生活に組み込み、簡単にデータ収集できるようにすることだ。これらのドローンを使えば、農家はいつどこで肥料や灌漑が必要になるかを知ることができ、その結果廃水や無駄な水の使用、農薬による汚染を減らすことができる。同社によれば、これらのドローンは河川流域や地表のマッピング、災害対応などにも利用できるという。
10.ハイテクろ過
この惑星の水の未来が危機に瀕していることが、科学者に浄水やろ過の研究で創造性を発揮させているのかもしれない。ミシガン州立大学が開発した最新の手法の1つは、大きな可能性を秘めている。同大学の研究者は、畜牛のし尿を肥料として使えるろ過水に変えるろ過技術を開発した。し尿は主に水分からなっており、農場には大量にある。そして、世界中にはたくさんの畜牛がいるのだ。研究者たちによれば、1000頭の畜牛は1年間に最大1000万ガロン(約3800万リットル)のし尿を生み出すという。この技術は嫌気性消化装置を使い(この装置はし尿からエネルギーを生産する)、これと限外ろ過法、逆浸透膜を組み合わせることで、副産物として水を作り出す。この水は十分にろ過されているため、飲用水として家畜に飲ませることができる。約100ガロン(約380リットル)の屎尿から50ガロン(約190リットル)の清潔な水を得ることができ、同チームはすでにこの数字をさらに大きくする方法に取り組んでいる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。