29日の日経平均は、88円上昇して1万5618円となった。発表が始まった4~6月期決算がおおむね好調であることから、堅調な値動きが続いている。
29日に4~6月決算を発表した主な企業

(出所)各社決算短信から楽天証券経済研究所が作成 (注)SEC基準採用企業については連結税前利益を経常利益としている。通期予想が上方修正された日本精工と下方修正された日立建機については、4~6月進捗率は、修正前の会社予想に対する比率を記載している。
通常、4~6月期の決算が出てすぐに通期予想を修正する企業は少ないが、29日に、日本精工(6471)が通期予想の上方修正(720億円→805億円)、日立建機(6305)が下方修正(750億円→550億円)を発表した。
ベアリングが産業向け・自動車向けとも好調な日本精工(6471)
産業機械部門では、国内の工作機械、中国の鉄道車両・風車向けが堅調だった。自動車部門では、好調な米国市場と中国で、電動パワステが拡大したことが寄与した。また、国内市場も消費税引き上げの影響は限定的だった。
期初予想が強すぎた日立建機(6305)
鉱山機械の回復が遅れている。当初発表した会社予想が過大だった。同業の小松製作所(6301)が慎重な予想を出す中で、日立建機(6305)の予想が高すぎることに、多くのアナリストが疑問を持っていた。案の定、4~6月の実績が出るともに通期予想まで下方修正するはめに陥った。
全部門が好調なオムロン(6645)、上半期予想を上方修正したが通期予想は据え置き
制御機器・電子部品などほぼ全部門が好調だ。唯一ヘルスケア部門が微減益だが、会社側説明では、「先行投資を増加させたことによる意思ある減益」だ。4~6月好調を受けて、中間期の経常利益(連結税前利益)の会社予想を305億円→400億円に上方修正した。しかし、通期予想については710億円のまま据え置いた。
会社側説明によると、「上期予想を増やして、通期予想を据え置いたが、下期を下方修正したわけではない。通期予想は単に今回見直していないだけ」。楽天証券経済研究所のチーフストラテジスト窪田真之氏によると、今後、急激に事業環境が悪化しない限りは、中間決算が発表される10月ころに、通期予想も上方修正されると考えられるという。