ITや証券ビジネスの発想にはとらわれたくない
楠氏は、経営者としてのモットーに「スピードとイノベーション」を挙げる。
「この業態の企業は、経営のスピードが落ちることは許されない。収益を上げる分野を素早く見極め、そこを拡充していかないと生き残れない。新しい考え方をどんどん導入し、イノベーションを実現しなくては成長の機会を逸する。そこには新しいテクノロジも含まれるでしょう」
では、成長分野をライバルよりも素早く見極め、イノベーションを繰り返していくには、何が必要なのだろうか。この問いに楠氏は次のように答えた。
「IT発想、証券ビジネス発想にこだわらないことでしょう。既成概念にとらわれないことが大切です。では、何をすればそういう発想が得られるかというと、お客様との対話だと考えています」
顧客との対話から得られたイノベーションのためのアイデアを、慣れ親しんだ考え方によって疎外される危険がある。楠氏は、そんなリスクをも想定し、日々経営を進めている。