2011年に設立されたBitcasaは一般ユーザーやデベロッパー、企業向けにクラウドストレージを使える基盤を提供している企業だ。6月には、日本にデータセンターを構築している。今回は、米Bitcasaの最高経営責任者(CEO)であるBrian Taptich氏に、Bitcasaの特徴や市場の展望を聞いた。
米Bitcasa 最高経営責任者(CEO)Brian Taptich氏
--クラウドストレージ分野には事業者が多いが、Bitcasaの強みとは。
「どんなユーザーでもユーザー自身がデータをコントロールできること」です。ここでいうユーザーとは、コンシューマー、デベロッパー、企業です。
クラウドストレージサービスというと、BoxやDropboxが思い浮かぶでしょう。これらの企業は設立から7~9年であり、当時解決しようとしていた問題は、複数のデバイスからデータやドキュメント、音楽、動画などに横断的にアクセスするにはどうしたらいいかということでした。
一方、Bitcasaが設立されたのは3年前で、前述したような企業とは全く違った課題の解決を目的としていました。現在は多くのデバイスがあって、それぞれのデバイスにデータやドキュメント、音楽、動画が保存されますが、ストレージの容量が小さいと、あっという間にスペースがなくなってしまいます。
われわれの考え方は、ユーザーがデータをあちこちに置くのではなく、アクセスする唯一の格納場所として仮想ハードディスクドライブを提供することです。従来のクラウドストレージが提案する「sync、share、collaboration」(データの同期や共有、共用)といった考え方を超えるサービスとなっています。
--どのような顧客を想定しているのか。
まず、tech-savvy(テクノロジに精通した人)と呼ばれるようなアーリーアダプターでかつ、技術情報に非常に長けた人たちが挙げられます。こういったユーザーはわれわれの価値について十分理解して、サービスに妥当な対価を払うことをいとわない人たちです。また、初期のユーザーはtech-savvyなコンシューマーおよびデベロッパーでした。セキュリティの重要性を理解しており、プラットフォームとデバイスの横断について十分に価値を理解している人たちです。
そういったユーザーの大半は、自身でデータをコントロールしたいという気持ちを持っています。例えば、データをDropboxやGoogleDriveなどに預けっぱなしにするのではなく、自分たちにデータを「帰属」させ、データの存在場所を常に把握し、必要があれば共有したり、プライバシーが求められるときはしかるべき対処をしたりといったように、データを適切にコントロールしたいと考える人です。クラウドハードドライブの価値を理解しているユーザーと言えます。
通常のユーザーは自分のデータをコントロールすることが重要であるという認識はないと思いますが、tech-savvyと呼ばれるコンシューマーやデベロッパー、企業その価値を理解しています。そうしたユーザーこそbitcasaの顧客です。