6月19日に「あらゆるモノがつながる世界~IoTが起こす新ビジネスイノベーション」をテーマにイベント「CNET Japan Live 2014 Summer」が開催された。
「IoT時代M2Mが新たな産業の姿を拓く」をテーマにパネルディスカッションを実施したのは、NTTドコモのM2Mビジネス部 法人M2Mビジネス グローバルM2M推進担当課長の藤田大作氏と、日本システムウエア(NSW)のクラウドサービス部 M2M企画グループ リーダーの大野博隆氏だ。
NTTドコモのM2Mビジネス部 法人M2Mビジネス グローバルM2M推進担当課長の藤田大作氏
あらゆるモノがインターネットにつながる。実現すればその影響はさまざまな分野に及ぶ。クルマの革新やウェアラブルデバイスによる新たな可能性などだけではなく、ビル管理やゴミ処理といったネットワークとは無縁と思われていた領域にも根本的な変革が訪れるという。
同セッションでは、NTTドコモとNSWの両社がIoT/M2Mの導入事例や通信キャリアとしての取り組みといった話を交え、産業に与えるインパクトを考察した。
通信事業者のモバイル基盤を利用して、事業者がさまざまなM2M(Machine to Machine)サービスを展開できるようにするのが、ドコモのM2Mへの基本的な考え方だ。飲料の自動販売機や設備監視、ホームセキュリティ、車両管理、物流管理、オンラインゲーム、ヘルスケアなど、ネットワークが広がる潜在的な可能性は大きい。
藤田氏は利用事例として、建設機械のコマツが世界で稼働する自社の機器の位置情報や走行距離、燃料消費量などの情報を集め、状況を監視した上で、マシンダウンの防止や精度の高い生産計画の立案を実現していることを紹介した。
ドコモはTesla Motorsとの提携を発表した
ドコモは6月10日に、Tesla Motorsと提携し、2014年夏以降に日本に納車する電気自動車「モデルS」にドコモのM2Mプラットフォームとデータ通信回線を提供する契約を結んだと発表。
モノのインターネット(Internet of Things)の最先端事例と位置づけるモデルSは、大型の17インチディスプレイで、高解像度地図のカーナビゲーションやオンラインミュージックのストリーミングラジオなどさまざまな情報通信サービスを提供する。ドコモのM2Mプラットフォームが国内外の通信回線を一元管理できることが評価されたという。
藤田氏はM2Mビジネスについて「さまざまな産業にまたがって新たな価値創造を可能にするもの。ビジネスのさまざまなルールを変え得るもので、かなりの伸び代がある」と強調した。
日本システムウエア(NSW)のクラウドサービス部 M2M企画グループ リーダーの大野博隆氏
一方、NSWの大野氏は、IoT時代M2Mが新たな産業の姿を拓くという講演テーマについて「M2Mによって、さまざまなビジネスがサービス化していく」との考えを示した。デバイスなどを売って取引が終了するというモデルから、デバイスを利用する際のメンテナンスやサービスを通じて利益を得るモデルが今後急速に増えるとの考え方だ。
M2Mプラットフォーム「Toami」の事業展開で、NSWとドコモは3月に提携を発表。NSWが展開するM2Mビジネスは、例えば、ゴミ箱の利用状況を把握し、ゴミの収集タイミングを把握して効率化したり、橋の磨耗具合を管理したりといったもの。今後ますます、社会インフラを支える重要な役割を担うことが予想されている。
大野氏は「これまでは、エレベーターの遠隔監視や自動販売機の売り上げや在庫集計などM2M導入による効果が明確な企業が主な顧客だったが、これが変わりつつある」と話す。最近は「ビジネスバリューに確信は持てなくても、データの有効利用は必須」と考える企業が導入を検討し始めているという。
「われわれは多くのアイデアを、コストを抑えながら試せる基盤を提供できるので、ビジネスモデルの変革をぜひ手伝わせてほしい」と大野氏は自社の立ち位置を説明した。