5. キーボードのカスタマイズ
キーボードは、何と2007年にリリースされた「iOS 1.0」から全く変わっていなかった。しかし、AppleはiOS 8でキーボードを完全に刷新し、ユーザーが次に入力しそうなテキストの予測や自動修正候補の選択が可能になった。「QuickType」と呼ばれるこの機能は、非常に直観的だ。なぜなら、単語やフレーズの候補は、ユーザーの過去の会話や文体の特徴に基づいて挙げられるからだ。そのため、友達との気楽な会話と、ビジネスパートナーに電子メールを送るときのフォーマルな文体の違いを識別し、ユーザーに提示する候補を調整することができる。iOSキーボードのカスタマイズと言えば、優先する言語の選択と、それより頻度は低いが、自動修正のオン/オフ切り替えを意味してきた。一方で、「Android」などのライバルは、キーボード機能をほかのアプリと同じように単純にインストールして、キーボードをアップグレードし、機能性を高められるようになっている。iOS 8では、「Swype」のようなサードパーティーキーボードのインストールも含めて、キーボードの完全なカスタマイズのサポートが追加されている。
6. Touch IDのAPI
Appleが「iPhone 5s」で「Touch ID」を導入したとき、指紋認証だけでデバイスのロックを解除したり、「App Store」で買い物をしたりできるというコンセプトは、非常に刺激的だった。しかし、残念なことに、その体験はそれらの機能だけに限られていた。パスコードを使わずにほかのアプリケーションのロックを解除したり、ネットワーク上で認証を実行して共有リソースにアクセスしたり、さらには非接触購入を行ったりといったアイデアは、多くのユーザーが強く要求してきたものだ。Touch IDのAPIがサードパーティー開発者に公開され、サードパーティーアプリへの統合が可能になった今、それらのアイデアが現実味を帯びてきた。Touch IDの前提はこれまでと同じである。つまり、再使用や失念、紛失のおそれが高いパスワードに依存する代わりに、セキュアな生体認証による管理を利用してデータとプライバシーを保護する、ということだ。
7. P2PでのAirPlay
「AirPlay」は、OS XおよびiOSデバイス間で音楽/動画コンテンツをストリーミングするためのAppleのプロプライエタリなプロトコルだ。iOS 8では、近くにあるデバイス間の接続を確立するのにピアツーピア(P2P)テクノロジを使用するため、Wi-Fi接続がなくても、デバイス間でコンテンツをストリーミングできるようになる。これは、見込み顧客やビジネスパートナーと即席の会議を行うときや、お気に入りのテレビ番組の最新エピソードをストリーミングするときに、とても便利だろう。オンザフライでプレゼンテーションを表示させる必要が生じた場合にも、極めて有用かもしれない。
8. デバイスのセキュリティと管理
職場におけるiOSデバイスの普及は驚異的で、Appleの2014年第3四半期の決算が証明しているように、今後も四半期ごとに拡大を続けるだろう。端的に言えば、数字は嘘をつかない。大きな数字はAppleの収支にとって良い前兆だが、エンタープライズ全体のデバイス管理を担当するシステム管理者はそれに怯える必要はない。iOS 8では、iOSデバイス上のセキュリティをさらに強化するアプリケーション別の各種機能に加えて、さまざまなネットワーク、セキュリティ、および管理フレームワークが追加されている。電子メール暗号化のより細かい制御や、ファーストパーティー生産性アプリのパスコード保護、ジェスチャーの追加は、そのほんの一部にすぎない。