日立製作所と博報堂は8月4日、両社のビッグデータに関するプロジェクトが、ビッグデータで生活者情報が利用されることについて調べた2回目の意識調査の結果を発表した。
ここでいう生活者情報とは、個人情報(個人情報保護法に規定する、特定の個人を識別できる情報)と、それ以外のプライバシーにかかわる情報(商品の購入履歴やGPSによる位置情報など、特定の個人を識別しないものの、個人のプライバシーに関わるさまざまな情報)を合わせて定義しており、生活者情報には匿名の情報および氏名の付加された情報がある。
調査によると、生活者情報の利用でプライバシー侵害の不安を感じる要因として「目的外利用のおそれ」「利用への拒否権の欠如」「説明、公表不足」の3点に回答が集中した。また、約8割の回答者が適切な企業体制構築の義務づけなどの施策で不安が軽減されるとしている。
調査は、両社のプロジェクト「マーケット・インテリジェンス・ラボ」が、ビッグデータの処理技術の進展などに伴い、生活者情報が各方面で利用されつつある中で、生活者の意識の変化を定量的に把握することを目的としたもの。今回は、2013年の第1回に続く第2回として、全国20~60代男女を対象に2014年6月に実施した。
具体的には、ビジネスや公共分野などにおいて自身の生活者情報が利用されることへの期待や不安、抵抗感の実態と、その軽減方法などについて総合的に調査している。また、2014年は、生活者情報の利用に関して話題になった事例やプライバシー保護関連の用語について、どの程度理解が進んでいるか、理解度によって生活者情報の利用に対する抵抗感がどのように変化するのかなど、生活者の実態についてより深く調査している。
調査の結果、自身の生活者情報が利用されることへの不安が期待よりも大きい生活者が前回調査と比べて増加したものの、企業に適切な安全管理体制の構築を義務付けるなど、生活者のプライバシー保護に資する施策が講じられることで、不安や抵抗感を軽減し得ることが分かった。
また、生活者情報の利用に対する不安要因について調査、分析し、企業などによる適切な情報公開、発信の重要性が明らかになった。
調査結果の主なポイントは以下の通り。
生活者情報の利用に対して「不安が期待より大きい」層が増加、不安を軽減する施策が重要
- 生活者情報の利用に対して「期待と不安が同程度」の層が減少し、「不安が期待より大きい」層が前回調査よりも増加
- 生活者情報の利用に対する不安要因の上位は、「目的外利用の恐れ」、「利用への拒否権の欠如」、「説明・公表不足」
- 適切な企業体制構築の義務付けなどの施策で、不安や抵抗感が軽減される生活者が約8割
生活者情報の利用に関する関心や知識の度合いは低く、適切な情報公開・発信が必要
- 生活者情報の利用に関する事例やプライバシー保護関連の用語についての関心、知識の度合いは低い
- 生活者情報の利用に関心や知識がある層ほど、メリットも不安も強く感じる傾向
- 生活者情報の利用に関する不安を軽減する施策に関する適切な情報公開・発信が必要