今すぐ始めるWindows Server 2003からの移行(後編)--クラウドの活用も考慮すべき

田中好伸 (編集部) 2014年08月11日 06時00分

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前編から続く

オンプレミスかオフプレミスか

 Windows Server 2003が登場した頃と現在を比較すると、移行先の選択肢が格段に多くなっている。かつてはどのOSを選ぶべきか、ハードウェアはどうしたらいいかという疑問だったが、現在はオンプレミスかオフプレミスかという選択肢がある。

 オンプレミスにしても、ハイパーバイザで仮想化して統合することができる。オフプレミスであれば、出来合いのSaaSを選択できるし、IaaSやPaaSの上に自分たちで構築することもできる。つまりは、業種や業務で必要とされるシステムの機能、非機能要件となるRAS(信頼性、可用性、保守性)などを考慮して考える必要がある。

 例えばメールであれば、Windows Server 2003の後継である「Windows Server 2012 R2」という選択肢もあるが、SaaSで提供される企業向けのメールサービスがある。グループウェアやウェブも同様だ。これらにファイルサーバなどの機能を加えた情報系システム全般をパブリッククラウドのSaaSに任せるという選択肢も存在する。

 Windows Server 2003が登場時と現在を比較して、もう一つ異なるのが、IT部門を取り巻く環境の大きな変化だ。システム化される業務が広がるとともに、IT部門が担当する仕事も広がっている。だからといって、IT部門の要員が増えるわけでもなく、コスト削減の圧力が弱まることもない。

 そうした現況を考慮すれば、IT部門がすべてをハンドリングできるオンプレミスだけでなく、社外のオフプレミスも選択肢に入れた方が得策と言える。総所有コスト(TCO)という視点で考えた時、(考えるべきポイントは増えるが)選択肢は多い方がいい。企業のコアコンピタンスとなるシステム、競合他社との優位性につながるシステムは、オンプレミスでIT部門が企画、開発した方がいいだろうし、それ以外のシステムはファイアウォールの外部から提供されるパブリッククラウドを利用した方がコスト効率を高くできる。

まずは棚卸し

 Windows Server 2003からの移行はどのような段階を経て作業が進むか。日本マイクロソフトの岡本剛和氏は「棚卸し→移行方法の検討→構築と導入→動作確認」という4段階になると説明する。

 2つの段階となる“移行方法の検討”での移行方法は、互換性に基づく移行と新規開発、そして物理マシンから仮想マシンへの“P2V(Phisical to Virtual)”だ。P2Vは、Windows Server 2003上のアプリケーションなどをまるごと仮想化するというものだ。

 だが、P2Vについて、岡本氏は「ハードウェアの刷新にP2Vは使えるが、サポートが終了してしまうためにパッチを提供できない」ことを注意する。P2Vの場合、物理マシンなのか仮想マシンなのかの違いでしかなく、Windows Server 2003が稼働しているという意味で「サポート終了対策にならない」(岡本氏)。つまり、P2Vはサポートが終了したOSを使い続けるリスクを解消したことにはならない。「マイクロソフトはP2Vを勧めていない」(岡本氏)

 3番目の“構築と導入”では、考慮すべきこととして64ビットであること、Windows Serverに標準で搭載されるウェブサーバ「Internet Information Services(IIS)」の6.0から8.5への変更、ウェブアプリケーションフレームワーク「ASP.NET 1.1」への対応、開発環境のアップデートが挙げられる。4番目の“動作確認”のポイントとしては「互換性を利用した移行でも、テストが必要であることを忘れないでほしい」(岡本氏)。加えて、運用環境を再整備することも重要としている。

 Windows Server 2003からの移行で最も問題となるのが、1番目の“棚卸し”だ。ユーザー企業ごとに導入時期は異なるが、言ってしまえば、10年以上前に導入されたシステムだ。導入を経験した担当者が在籍中だと助かるが、ひょっとしたら担当者がすでにいない可能性もあり得る。導入時やその後の状況を示す関連文書も存在しない可能性も大いにあり得る。「何のアプリケーションがいくつあるのか、設計書やテストの仕様書がどこにあるのかを調べる必要がある」(岡本氏)

 業務アプリケーションはサブシステムとの依存関係があるために、複雑にならざるを得ない。仮に業務アプリケーションで使われているロジックだけを移行するとなると関連文書がないと作業の工程は多くなってしまう。

 こうした事態に対して、日本マイクロソフトでは移行関連ツールなどをすでに提供している。同社のパートナー企業からも、移行のためのツールやサービスが提供されている。ユーザー企業としてはそれらを利用できるが、いずれにせよ対象となるシステムがどこにどれだけ稼働しているのか、ユーザー企業は棚卸しを早急に進める必要がある。

 日本マイクロソフトでは、予算の問題で移行が困難というユーザー企業に対して、関連する調達を2014年度内に済ませ、2015年度以降の予算で支払うか、優遇した金利で分割支払いできるサービス「サーバ購入支援キャンペーン」を提供している。パートナー企業からは、移行を進めるための簡易な提案書も配布されているという。

数年後を見据えた計画の発端に

 IT部門にとってWindows Server 2003からの移行は喫緊の課題だ。サポートが終了するサーバOSを使い続けるリスクを低減するために、オフプレミスとオンプレミスの両方をあわせてさまざまな選択肢が用意されており、提供される機能はかつては利用できなかったものばかりだ。サポートが終了したOSから新しいOSやクラウドに移行することで、これまでできなかったことも利用できるようになる。

 Windows Server 2003というリスクを避けることは当面の問題だが、これを契機に企業内のシステムを改善する好機として、数年後を見据えたシステム計画の発端とすることができる。

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