ユーザーエクスペリエンスは、全体的に深みを増したものの、あらかじめ搭載されているアプリケーションのアイコンはよりフラットになった。アイコンやアプリはより明るく、より丸みを帯びた見た目となっている。ウィンドウの最小化や最大化、クローズを行うための「信号機」のようなウィジェットでさえ、より色鮮やかになっており、陰影は付けられていない。緑色の最大化ボタンは、ようやくウィンドウを画面一杯に最大化してくれるようになった。ただ、ウィンドウの立体感は残っており、オープンしている各ウィンドウの周囲に現れる3Dの陰影やぼんやりした領域は残されている。
しかし何よりも目立つのがフォントだ。Lucida Grandeではなくなった。比較すると以前のシステムフォントは、どこかComic Sansに似た風合いを醸し出している。今回のシステムフォントはHelvetica Neueだ。これはより幅広で、プロフェッショナルな感じを推し進めたフォントである。おそらくはよりビジネスユーザーを意識した選択なのだろう。フォントの変更はOS全体のフィーリングを一新するうえで十分だと言える。

システムフォントはより丸みを帯びた幅広のものとなっている
提供:ZDNet/CBS Interactive
また、数多くのアプリが全体にわたって半透明になっているという、ユーザーエクスペリエンス上の大きな変更点がある。あらかじめ搭載されているアプリだけでなく、「Skype」のようなサードパーティー製のアプリもそうなっている。Skypeの場合、アプリの背景にあるものがぼんやりと透けて見えるため、立体感が増して見える。

半透明のサイドバー
提供:ZDNet/CBS Interactive
左側のパネルは、(懐かしの)「Windows Vista」のように背景が透けて見えるようになった。ただ、以前の古くさく、不透明で平板な感じのするパネルの雰囲気を変えるという以外、実用性はない。
Yosemiteにおいて半透明になるウィンドウは、アクティブになっているもの1つだけだ。iOS 7で半透明エフェクトが最初に登場した際には少し不快であったが、画面サイズが大きくなったことで心地よさを感じるようになった。ただ、ウィンドウの上部が完全に半透明となっている「Safari」は例外だ。Safariでウェブページをスクロールすると、タブやロケーションバーのある部分からページのコンテンツが透けて見えるようになっている。
iOSのSafariでは、設定の「アクセシビリティ」から透明度を制御できる。
ダークモードはその目的が不明確だとはいえ、暗闇で作業する人にとっては役に立つのかもしれない。おそらくは。たぶんだ。ただ、この新機能はAppleの美的水準に照らし合わせるとあまりにも荒削りであり、完成とはほど遠い状態にある。一部のフォントはジャギーが残っていた。ただ、筆者がYosemiteを使用していたのは「Retina」ディスプレイ非搭載の「MacBook Air」であったという点は述べておきたい。

「ダークモード」に切り替えると、メニューやサイドバーが薄暗い色になる
提供:ZDNet/CBS Interactive
ビジュアルの刷新を除けば今まで通りの「OS X」であり、まごついたり、立ち往生してしまうことはないはずだ。