HANAはパートナーを巻き込んだプラットフォームへ--SAPの狙いとは - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-08-15 07:30

--日本とグローバルとで戦略の違いはあるか。

 日本のパートナーもPowered by HANAのクラウドを受け入れる準備が十分にできていると思います。またそれに向けた投資、市場環境も整っており、日本は他の市場と同様に成熟しているといえます。成熟した市場は、クラウドでのサービスを展開する際、インフラの視点が重要です。

 インフラとしてクラウドが受け入れられるかどうかは、データセンターやアウトソーシングの面でも準備が整っている必要があります。南米や欧州の一部では、まだ整備されていない地域も多くあります。

 またPowered by HANAは日本はもちろんアジア地域、オーストラリアや韓国などですでに導入実績があります。日本ではいくつかの小売業で実績があり、HANAベースのアナリティクス、ERPの導入と展開しています。この四半期では、日本はアプリケーション、アナリティクス分野が活発です。そして、次のピークはHANAをベースにしたビッグデータ分析の導入だと考えています。

 実績で言いますと、1月の発表で昨年のHANAの成長率はグローバルで29%でしたが、日本は倍以上になっています。クラウドもグローバルは前年比130%ですが日本は400%と、4倍になっています。

 HANAに関して言えば、新しい顧客の50%以上がHANAを採用しており、全体では30%以上の顧客がHANAを使用している状況です。なお、日本もグローバルと同様のポートフォリオに準拠し、名称を変更している製品やサービスもあります。

--パートナーシップにおいて、日本独自の展開はあるか。

 大きく3つあります。1つは、先日、Business Suite powered by SAP HANAのコンソーシアムを立ち上げたことです。HANAが伸びており、パートナーとエンドユーザーがかみ合うように工夫しています。

 コンソーシアムには27社のパートナーが参加し、HANAの技術をいろいろな形でシェアしていくことを考えています。もはや、ソフトウェアを売ることだけがSAPのビジネスではなくなっています。

 もうひとつは中小企業(GB)の部分です。GB分野ではパートナーと協業を進めています。この部分は日本ではSAPにとって、まだまだ既存のビジネスモデルが対象としていない領域で、各地域で競合と争っています。SAPは大企業(Large Enterprise:LE)分野が強いのですが、今後はGBでもパートナーと広く協業していきます。そして3つめはクラウドです。新規のリクルーティングを含めてLoBの部分で協業を進めていきます。

--GBへの具体的なリーチはどのようにするのでしょう。

 GBは、今年からパートナー統括本部に組み込まれました。まだスタートしたばかりです。GBに対しては、全部パートナーと一緒に売っていこうという考え方をしています。SAPが持っている2万強くらいのアカウントに、SAPだけでリーチしていくのは難しいため、今年から思い切ってパートナー統括本部に組み込み、すべてパートナー経由でやっていくことになりました。

 これがパートナーに好評で、成長率においても他のセグメントに比べて高くなっています。今後の展開として、HANAを使ったサービスを開発する企業への投資も考えています。

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