「Red Hat Enterprise Linux(RHEL) 7」がリリースされ、いつでも利用可能になっているものの、メジャーアップデートとなる同バージョンへのアップデートに二の足を踏む企業もある。こうした企業のためにRed Hatは「RHEL 6.6」をリリースする計画だ。
RHEL 6.6のベータ版は米国時間8月12日にリリースされた。Red Hatがどのような組織に向けてこれをリリースしたのかは、同社の発表を読めば明らかだ。そこには、RHEL 6.xによって「安定し、実績のある、予測可能なプラットフォームが提供され、企業のミッションクリティカルなワークロードを処理するための信頼できるセキュアなプラットフォームを維持するというニーズと、変化する業務ニーズに適応するという柔軟性とのバランスをとることが可能になる。RHEL 6.6のベータ版はこうしたニーズに応えるものであり、企業が大規模で複雑なITインフラを物理環境や仮想環境、クラウド環境にまたがって容易に構築、管理できるようにする機能拡張を提供する」と記されている。
具体的には、RHEL 6.xに対する今回のアップグレードにより以下のような利点がもたらされる。
- RDMA over Converged Ethernet(RoCE:イーサネットを介するリモートDMA)機能をあらかじめ搭載したことによる、低レイテンシかつ高帯域幅でのネットワーク接続の実現。
- 新たなソケットポーリングの実装による、ネットワークのレイテンシやジッターの低減。
- カーネルロック手法の改善による、大規模システムにおけるCPU利用率の向上。
- 新たな40ギガビットイーサーネット(40GbE)対応ネットワークアダプタのサポート。
- Microsoftの「Active Directory」(AD)との相互運用性の向上。
- 「HAProxy」や「Keepalived」といった、「Load Balancer」テクノロジの完全サポート。
- 大規模システムにおいて高可用性設定を行った際の、リソースリストの管理可能性の向上。
- 分散環境におけるシステムレベルのパフォーマンスの監視や管理をサポートするフレームワークおよびサービス一式である「Performance Co-Pilot」(PCP)の追加。
- OpenSSLといった、セキュリティ認証に関する米連邦標準規格「FIPS 140」に対する再検証。
また今回のリリースでは、RHELを仮想環境上のゲストOSとして稼働させる際のサポートも強化されている。これには、セキュアアプリケーションに対するより優れた暗号化サポートや、ゲストのネットワークやストレージに対するマルチキューパフォーマンスの向上が含まれている。さらに、Microsoftの「Hyper-V」による仮想化に対するより優れたゲストサポートも含まれている。
このため、RHELユーザーだが、RHEL 7というメジャーアップデートに二の足を踏んでいるというのであれば、アクティブなRHELサブスクリプションを保持しているすべての顧客向けに、Red HatカスタマーポータルでRHEL 6.6のベータ版が提供されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。